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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
5年前のW杯予選で井手口陽介に“手痛い一撃”を食らったオーストラリア代表監督…今、セルティックで“一緒に仕事”をしている不思議な因縁
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph byPA Images/AFLO
posted2022/03/23 11:02
セルティックの井手口陽介、前田大然とアンジェ・ポステコグルー監督
移籍直後に削られて戦線離脱、旗手の好調
直近のロス・カウンティ戦、セルティックは4-0で快勝した。中盤はキャプテンのカラム・マクレガー、オーストラリア代表のトム・ロギッチ、そして同時期に入団した旗手怜央の3枚でスタートした。
試合途中で3人とも交代を命じられているが、代わって入ったのはマット・オライリー、ニル・ビトンと、この日負傷から復帰となったデイビッド・ターンブル。井手口はベンチに入るも、出場機会が訪れなかった。
移籍後わずか2戦目のカップ戦で、悪質なタックルにより負傷離脱を余儀なくされた。新天地でアピールが必要な時期に、脚を治すことに集中しなければならなかったのである。さらに今冬の補強により中盤の選手層が厚みを増したことで、定位置確保に苦しんでいる。
現地では、レンジャーズとのポイント差もほとんどなく、熾烈な優勝争いにある今の状況が井手口の出場機会を狭めていると考えているようだ。
セルティック専門メディアの『67 HAIL HAIL』は「アンジェがこの時期に、このような重要なポジションで波風を立てたくないと思うのも無理はない」と監督の判断に理解を示した。
井手口のパフォーマンスの問題というよりは、タイトルの懸かった時期に新戦力をフィットさせる余力はないということである。本格的に出場機会を得るのは、来季に入ってからかもしれない。
日の丸を背負うチャンスは残されている
一方で、来季の活躍次第では逆転でワールドカップメンバーに名を連ねる可能性だってあるのだ。
カタールW杯が開催される来季は7月30日に開幕し、11月14日のリーグ中断まで16試合を戦う。本大会メンバーが発表されるまで、スコットランドからアピールするチャンスは残されている。
4年半前はW杯出場の立役者となったものの、その後リーズに移籍し、ローン先のスペインで芳しい成績を残すことができず、本大会メンバーから漏れた。しかしセルティックで本来の輝きを放つことができれば、今回こそ日の丸を背負うチャンスがあるはずだ。
あの日、苦杯を喫したポステコグルーだからこそ、井手口のポテンシャルを信じていることは獲得した時点で間違いない。あとは本格開花を待つのみである。
そして彼らが同じチームで戦っている今、再び日本がオーストラリアとの大一番を迎えることになろうとは。