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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
5年前のW杯予選で井手口陽介に“手痛い一撃”を食らったオーストラリア代表監督…今、セルティックで“一緒に仕事”をしている不思議な因縁
posted2022/03/23 11:02
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph by
PA Images/AFLO
2017年8月31日。ワールドカップ2018アジア最終予選、日本vsオーストラリア。
試合終盤の82分、埼玉から日本中がどよめく瞬間が訪れた。
オーストラリアのビルドアップの場面、原口元気がボールをカットするとボールは井手口陽介のもとへ。ハーフスペースでボールを持った背番号2はそのまま敵陣ファイナルサードへ強引にドリブルすると、相手ディフェンダーを引きつけながらミドルシュートを放つ。
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ボールはマシュー・ライアンの手をかすめゴール右上に突き刺さった。スコアは2-0。日本が6大会連続のワールドカップ本大会出場を決定的にした瞬間だ。
アジア予選では直前のイラク戦で出場するまで、ベンチ入りすらしていなかった21歳が突然の活躍。井手口の名前は紙面を独占し、瞬く間に日本代表のカルトヒーローとなった。
一方のオーストラリアはW杯出場圏内の2位に一歩及ばず。A組3位のシリア、そして北中米カリブ海予選4位ホンジュラスとのプレーオフに勝利し、滑り込みで本大会行きを決めた。
当時サッカールーズを率いていたのは他でもない、アンジェ・ポステコグルーである。
あの日の敵同士が現在タッグを組んでいる
「私たちの思っていた通りに中盤を支配することができなかった」(日本戦後のインタビュー)
あの日埼玉で英雄となった若者と、窮地に立たされた智将がどういう巡り合わせか今、スコットランドの地でタッグを組んでいるのだ。
「ヨウスケは私がオーストラリア代表チームにいたときから追いかけて、スカウトしていた選手だ」
井手口がセルティックに加入した1月、ポステコグルーが公式インタビューのなかでこう語った。それほど、あのゴールだけでなく、初めて井手口を見たときのインパクトが強かったということだろう。
井手口が最初の海外挑戦を終え、2019年8月にガンバ大阪に戻ってきた後も、横浜F・マリノスの監督として3度戦っている。幾度の対戦経験で知り尽くしているからこそ、自信のある補強だったようだ。
「彼は若くて素晴らしいタレントであり、彼を迎え入れ、共に仕事ができることを嬉しく思っている」
そう期待を寄せていたのだが――。