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マラソン“お喋り”シーンが話題に…優勝した“帝京大出身の元箱根ランナー”星岳が明かす「『そんなに余裕があるのか!』と思って…」
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph byJIJI PRESS
posted2022/03/05 17:00
2月27日に開催された「大阪マラソン・びわ湖毎日マラソン統合大会」で話題となったレース中の“談笑”シーン。この時、後方を走りマラソン初優勝を果たした星岳はどう見ていたのか
「確かに苦しんだ場面も多かったんですけど、そこも含めて、良い経験ができたと思っています。経験値を非常に多く得られた1年でした」
苦しい時期を脱すると、駅伝ではチームのエース区間を担うほど調子を取り戻した。トラックでは11月に10000mの自己記録をマーク。そして、今回の初マラソンでの快挙につなげた。
帝京大の恩師、中野監督は自身の指導方針についてこんなことを話している。
「大学4年間において、マラソンで結果を出すための指導をしているわけではありません。ただ、将来大きな三角形を描けるように、その底辺を大きくすることをしています。伸びしろは無限大です」
思い描くランナー像は「勝てる選手、勝負強い選手」
星はいきなりマラソンで結果を残したが、マラソンランナーのキャリアはまだ始まったばかりだ。その天井がどれほど高いのか、星自身にもまだ見えてはいない。
「いずれは日本記録を更新しなきゃいけないと思うんですけど、記録は気象やコースなどの条件に左右されるので、勝てる選手、勝負強い選手に重きを置きたい。もう一回順番(1位)を取って、強さを示したい」
これが、星が思い描く自身のランナー像だ。
星はもともと2028年のロサンゼルス五輪を目標に掲げていた。だが、今回の結果で、2024年のパリ五輪の選考レース(マラソングランドチャンピオンシップ、以下MGC)の出場権をも手にした。また、東京マラソンに出場する選手の結果次第では、今夏の世界選手権オレゴン大会の日本代表に選出される可能性もある。
「ロサンゼルス五輪をキャリアの最終目標に掲げており、そこが一番大きい目標ということは変わりありません。でも、MGCの出場権を獲得しましたし、パリも目指したいという気持ちが生まれました。世界選手権にも当然出場したいですし、日本代表となれば、結果を求められるので、経験だけで終わらせるわけにはいきません。今回、結果を出せたことで、2年目は見られ方も変わってくる。より結果にこだわってやってみようと思います」