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15歳ワリエワは加害者でもあり被害者でもある…ドーピング違反で9年後にメダリストになった選手の“涙の告白”「あの時間はもう戻ってこない」 

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及川彩子

及川彩子Ayako Oikawa

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photograph byJIJI PRESS

posted2022/02/20 11:05

15歳ワリエワは加害者でもあり被害者でもある…ドーピング違反で9年後にメダリストになった選手の“涙の告白”「あの時間はもう戻ってこない」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

ドーピング違反の疑いがある状態で北京五輪フィギュア女子シングルに臨んだ金メダル候補のカミラ・ワリエワだったが、まさかの4位で初の五輪を終えた

 しかし今回の場合、周囲の大人や関係者が意図的に摂取させた可能性はかなり高い。

 禁止薬物なしで彼女が五輪の舞台まで到達できたかどうかは分からない。しかしワリエワ自身も周囲の大人による被害者で、10代の貴重な時間、そして楽しくて始めたはずのスケートで心に大きな傷を負ってしまった。

 IOCのバッハ会長は会見で「ワリエワは未成年で、私の経験から言うと、未成年が自らドーピングを行うのは非常に稀。指示した人間がいることが多い」と発言。長野五輪、15歳で金メダリストになり、現在は解説を務めるタラ・リピンスキーも「15歳の彼女をこういう状況に置いた大人たちに怒りを感じます。全責任を彼女に背負わせています」と怒りを口にした。

 多くの選手、関係者を巻き込んだ今回のドーピング問題。ワリエワの周囲にいる大人たちは現時点では何の追及も受けず、当然ながら責任も負っていない。バッハ会長が関係者への調査を示唆したが、真相が究明され、責任の所在が明らかにされることを願っている。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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