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パワハラ問題に揺れた旧友・金明輝(鳥栖前監督)への想いも…40歳梁勇基、仙台復帰で誓う2009年の再現「J2降格は他人事ではなかった」 

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キム・ミョンウ

キム・ミョンウKim Myung Wook

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photograph byVEGALTA SENDAI

posted2022/02/19 17:00

パワハラ問題に揺れた旧友・金明輝(鳥栖前監督)への想いも…40歳梁勇基、仙台復帰で誓う2009年の再現「J2降格は他人事ではなかった」<Number Web> photograph by VEGALTA SENDAI

3年ぶりに古巣・仙台に戻ってきた梁勇基。J2で迎える新シーズンでは、10番とキャプテンマークを託された

「3年前にベガルタを退団する時には、まさか選手として戻ってくるなんて思ってもいませんでした。それまで自分がサッカー選手を続けているイメージも持っていなかったので、仙台移籍が決まった時は自分が一番、驚きましたね」

 今年1月に40歳になったばかりのベテランに与えられた背番号は「10」。2006年から背負ってきたエースナンバーをクラブが用意してくれていた。そして、新チームの主将も託された。その粋な計らいに「重責を感じる」と語る。

 責任の重さでいえば、鳥栖での2年間もそうだ。梁にとっては短くも濃い経験ができた貴重な日々だった。

「家族みんなで引っ越したのですが、佐賀での生活は何もかもが新鮮でした。それこそ運転するのも今まで走ったことのない場所ですからね。いい人達との出会いもたくさんありましたし、本当に住みやすい。気候も暖かければ、食事もおいしい。コロナ禍でなかなか出かけることはできなかったのですが、とにかくサッカーをするにもすごく良い環境でした」

 加入1年目の2020年シーズンはJ1リーグ22試合、21年は7試合と出場機会は多くなかったが、「個人的にはサガン鳥栖に来て良かった。若い選手が多い中で、自分自身も色んな刺激をもらいながらサッカーにしっかりと取り組めましたから」と振り返る。

旧友・金明輝と過ごした2年間

 どうしても聞いておかねばならなかったのが、元サガン鳥栖監督の金明輝(キム・ミョンヒ)氏のことだ。2019年に仙台での出場機会が減っていた梁に、鳥栖移籍の声をかけた当人でもある。

 2021年は開幕6戦無敗など上位争いをし、最終的には7位でフィニッシュしたが、パワハラ問題などを抱え、金監督は退任した(21年12月にJリーグが金監督のパワーハラスメント行為を認定)。

「問題になった部分に関しては、僕からは何も言えることはありません」

 そうきっぱりと口にした後、言葉を選びながら「個人的な思いとして聞いてください」と前置きをしてつづけた。

「近くにいて感じるのは金監督が一番にサガン鳥栖のことを思っていたということ。誰よりも一番勝ちたいという熱い気持ちを持っていた」

 デリケートな話だけにそれ以上、多くは語らなかった。ただ、金監督の信頼に応えようと奮闘した2年間であったことは間違いない。

「若い選手たちと一緒にトレーニングしている自分を見て、『同い年なのにこれをよくこなせるよね。ちょっと考えられへん。ほんまにタフやなー』とは常々言われていました。いつも『信頼している』という言葉もかけてもらっていたので、それも一つのモチベーションというか力にはなっていました」

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