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《日本選手団メダル第1号》「予選1本目からつらかった」堀島行真が驚異の挽回…「最低限」と語った銅メダルの“本当の価値”
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byNaoya Sanuki/JMPA
posted2022/02/06 11:04
男子モーグルの堀島行真は予選1回目の16位から見事に巻き返し、日本選手団に今大会初のメダルをもたらした
「本当の夢は、やっぱり金メダル」
堀島が乗り越えたのは、何よりもまず「自分自身」だった。理想とする滑りを追い求める真摯さは、翻ってものごとをネガティブに捉えがちな面にもつながっていた。今大会でも、予選後には後ろ向きな思いにとらわれていた。
「予選1本目からつらかったです。最低限の結果を残さないと競技をしていられないんじゃないかな、とネガティブな気持ちになることが多くて……。昨日(4日)も今朝(5日)もつらかったです」
決勝3回目で乱れたとき、「諦めそうになった」と振り返る。
だが、そのまま崩れなかったのは滑りが示す通りだ。
「これはちょっと諦めちゃだめだなと思いました。まずゴールまで行こうと。そしたらエアが思ったよりも決まってくれた。ミスしたけど、自分の全部が出せたんじゃないかと思います」
平昌五輪の反省をいかし、そして自身のメンタルの特性と向き合い、そこを打破した。その結果としての銅メダルだったからこそ、価値は大きい。
「競技人生としても第一歩を踏み出せる糧になったので、ここからまたスタートして、メダルを目指して頑張っていきたいと思います」
そのメダルの色は、1つしかない。
「本当の夢は、やっぱり金メダルです」
これからも理想を追い求め、誰もが認める世界のトップとなるために。堀島行真の競技人生はどこまでも広がっていく。
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