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モーグル堀島行真23歳がW杯開幕戦1位でも“物足りない”理由とは 「次の優勝が総合優勝より大事」
posted2021/01/21 17:00
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Getty Images
スキーフリースタイルのモーグルで自身初のワールドカップ(W杯)総合優勝を目指す堀島行真(トヨタ自動車)が、王者キングズベリーとの“今季初対決”となる2月上旬のW杯を心待ちにしている。
堀島は今シーズンのW杯開幕戦を制し、3戦終了時の現在、総合首位に立っている。一方、昨シーズンまで9年連続でW杯総合優勝を果たしているミカエル・キングズベリー(カナダ)は、負傷のため昨年12月のW杯3戦を欠場したが、1月10日頃からカナダで練習を再開し、2月の復帰を予定している。W杯の次戦は2月4日から米国ユタ州ディアヴァレーで開催される。堀島にとっては“勝負のW杯”だ。
「1位は良かったが、ミカエル選手が出ていなかった」
堀島は今シーズン、幸先の良いスタートを切った。昨年12月5日にフィンランド・ルカで開催されたW杯開幕戦。予選と決勝1回目をいずれも首位で通過し、上位6人による決勝2回目でも隙のないパフォーマンスで80.86点をマークした。予選から3回の滑走すべてでトップスコアをたたき出す完全優勝で、W杯通算8勝目を挙げた。
「第1戦に関しては自分のパフォーマンスをある程度のクオリティーで出せたのが良かった。ただ、結果として1位というのは良かったが、ミカエル選手が出ていなかったので……」
優勝はうれしいが、同時にやや物足りなさもあったようだ。平昌五輪金メダリストにして、昨シーズンまで9シーズンにわたってW杯総合優勝を続けているキングズベリーが、W杯開幕戦の数日前、フィンランドでの練習中に背中を負傷し、戦列を離れていたからだ。
ライバルが不在の中、堀島は開幕戦の翌週にスウェーデンで行なわれたW杯第2戦、第3戦で表彰台を逃した。コースコンディションが悪く、持ち味であるスピードで他の選手との差が出にくかったため、「勝てるという自信がなく、スタートをうまく切っていけなかった。どんなイメージで滑るかという準備ができていなかった」と振り返る。