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約3年半ぶりの世界トップ10入り…“無双”する松山英樹だけじゃない?「世界1位」に近づく日本人選手とは
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byGetty Images
posted2022/01/19 06:00
プレーオフの末にソニーオープンを制した松山英樹
「いろいろ学んで、楽しんで」
どんな試合でも繰り返しそう話す笹生は、結果や数字とは一線を画してゴルファー生活を送っているようである。彼女が、彼女らしくある術なのかもしれない。
とはいえ結果に無関心であるかと言えば全く違う。当面のシード権も安泰な米国1年目の昨季から笹生は貪欲だった。プレー経験のないコースでの試合が続いたにもかかわらず、「これが(来年以降の)準備とは自分とは思っていないんです」ときっぱり言った。
「どんな試合でもいい成績を出したいし、(プレーが)初めてだからスコアが出ないのは言い訳にしかならないと思う。スコアが悪くても良くても、その時、その時で自分にできることを精一杯やるという考えなので」
会場内で少年少女にサインを求められると、笹生はたびたび、ペンを走らせながらジュニアゴルファーたちに「ねえ、このコースを回ったことある?」とたずねる。微笑ましいコミュニケーションの様子ではあるが、「だって、アドバイスを少しでももらいたいから。ホントですよ!」と言うのだ。
昨季5勝も、悔しさも味わった畑岡
一方で通算5勝目をマークした畑岡の2021年は、ベストシーズンの1つと言えそうで、悔しさにも満ちた一年だったことは想像に難くない。
全米女子オープンで笹生に敗れ、悲願のメジャー優勝を逃した。キャリアで最高の目標に位置付けていた東京五輪でのメダル獲得もならなかった。秘めた思いが身体からにじみ出る。昨夏以降、畑岡が試合で使うボールマーカーは全米女子オープンが行われたサンフランシスコのオリンピッククラブのものだった。
「まだメジャーも優勝できていない。新しい目標を探しながらやっている」と畑岡は言う。「世界一」はその1つであっていい。
2021年はプロ、アマを問わず、日本の男女ゴルファーが次々と金字塔を打ち立てる年だった。
2022年に描く夢は、もっと大きくてもよさそう。
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