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約3年半ぶりの世界トップ10入り…“無双”する松山英樹だけじゃない?「世界1位」に近づく日本人選手とは 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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posted2022/01/19 06:00

約3年半ぶりの世界トップ10入り…“無双”する松山英樹だけじゃない?「世界1位」に近づく日本人選手とは<Number Web> photograph by Getty Images

プレーオフの末にソニーオープンを制した松山英樹

 同じ18番で今回、2打目の残りは277ヤードで、手には3番ウッド。威勢のいい「GO!」の声はなく、球の行方は見失ったけれど、米国で8年以上も戦っていれば次のパットの距離は響く歓声の量でだいたいわかる。

 大学1年生の冬、初めて出場したPGAツアーがこのソニーオープンだった。ワクワクして、初めてプレーした米国の試合で、見たこともないような芝に対応できず、カットラインをはるか頭上に見上げて予選落ち(119位)したのが11年前。以来、大の苦手コースのひとつだったワイアラエCCを最後は悠然と歩き、1mのイーグルパットを沈めて終えた。

 1983年、青木功が日本人として初めて優勝した大会で、チェ・キョンジュ(K.J.チョイ)に並ぶアジア国籍の選手として最多となる8勝目。思えば昨年4月のマスターズの前まで、優勝から3年8カ月のあいだ遠ざかったのがウソのようなカムバック。ここ9カ月で3勝だ。

 この勢いをもってすれば、アジアの頂にひとり立つのは時間の問題に感じられる。さらにその先、「世界一」に話題が及んでも飛躍しすぎではない。

約3年半ぶりのトップ10

 松山の今回の優勝は昨秋に開幕したPGAツアー(2021-22年シーズン)の2勝目となり、年間ポイントレース(フェデックスカップ)の1位返り咲きを呼んだ。今年夏場のプレーオフシリーズで決着する先の長い戦いだが、1500万ドルのボーナスが贈られる年間王者のタイトルは現代の男子ゴルフにおけるナンバーワンの称号のひとつと言っていい。

 キャリアでの最高位は2016-17年の8位。世界選手権シリーズ2勝を含め3勝を挙げた派手なシーズンだった。

 その年、松山は別の指標で「世界一」に限りなく近づいた。フェデックスカップよりも分かりやすい、世界ランキングである。17年6月、当時トップにいたダスティン・ジョンソンに次ぐ2位に浮上。夏場に計7週にわたってその座についた。

 マスターズ制覇までタイトルから見放された期間には一時32位まで後退したが、それもハワイで10位にアップ。約3年半ぶりにトップ10に返り咲いた。

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