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約3年半ぶりの世界トップ10入り…“無双”する松山英樹だけじゃない?「世界1位」に近づく日本人選手とは
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byGetty Images
posted2022/01/19 06:00
プレーオフの末にソニーオープンを制した松山英樹
目下の世界ランクは1位ジョン・ラームと2位のコリン・モリカワが後続を引き離している状況で、松山がいますぐにトップ争いに加われるかというとなかなか難しい。単純計算で、メジャー、それに準ずるビッグトーナメントで2勝以上して、さて、どうなるか……というような位置ではある。
優勝でなくとも、上位成績を収めていればランクは上がるとはいえ、今回の年をまたいだ破竹の勢いを上回るそれが不可欠だろう。
だが、ZOZO、ソニーでの無双の戦いぶりは、日本のファンにとっては既視感もあるはずだ。まさにベストシーズンと言えた2016-17年の松山には世界を席巻する強さがあった。
あの頃から失ったものもあるかもしれない。ただ得たものもあるはずだ。マスターズチャンピオンという称号は今、松山に心の余裕を持たせている。それが慢心だとか、燃え尽き症候群といった類の悪影響になり変わっていないことは明らかだ。
宮里藍以来の「世界一」を狙う畑岡、笹生
ところで、日本人選手の「世界一」到達への可能性について、頭にとどめておくべきは女子ゴルフである。なにせこちらの現実味は松山以上にあるような気がしてならない。
今週、LPGAツアーはフロリダで開幕する。参戦6年目になる畑岡奈紗と、昨年の全米女子オープン優勝でメンバーに加わった笹生優花は昨年、年間ポイントレース(レース・トゥ・CMEグローブ)でそれぞれ10位、16位の成績を残した。賞金ランキングに至っては3位と6位という堂々のフィニッシュだったからこそ、今季の注目度はいっそう高い。
1987年、外国人選手として初めて賞金女王に輝いた岡本綾子以来となるLPGAツアーのトップがどちらの選手の視界にもある。
世界ランキングにおいても畑岡は現在6位、笹生は8位にいる。過去に日本人選手で1位になったのは宮里藍だけ(2010年)。現状は男子と似ていて、1位のネリー・コルダと2位のコ・ジンヨンの鍔迫り合いが熾烈で、3位以下に差をつけている。
その中で、まだ20歳の笹生はまだキャリアの出場試合数が少ないことから、世界ランキングのシステム上、序盤戦は好成績が浮上に“より敏感に“反映されそうだ。