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[世界王者の葛藤]ネイサン・チェン「勝機は過去の己の中に」
posted2022/01/07 07:02
text by

田村明子Akiko Tamura
photograph by
Getty Images
12月20日、1月に行われる全米選手権に向けてネイサン・チェンのリモート会見が行われた。
「グランプリ(GP)ファイナルが中止になったのは、とても残念でした。でも皆の健康と安全が第一なので、中止は仕方のないことだったと思っています」
カリフォルニア時間で夕方5時に取材に応えたチェンはまだリンクにいたため、マスクをつけたままで話し始めた。最後に出場した大会であるスケートカナダからもう2カ月近く経過した。GP2試合から現在まで、どのように調整をしてきたのか。
「自分の演技でどこがもっと上達できるのか、何がうまくいって、何が良くなかったのか、というようなことを分析しました。こうしたことを煮詰めていき、コーチと話し合って次の大会に生かすためです。たとえ勝っても負けても、それまで積み重ねてきた全てを投げ捨ててやり直し、というわけではない。現在の自分の位置に満足しているし、ここからさらに先に進んでいきたいと思っています」
チェンはそう語ったが、この会見で焦点となったのは、今季のプログラムをどうするのか、ということだった。
今季の初戦だったスケートアメリカで、チェンは予想外のスタートをきった。ショートプログラム(SP)で2度ジャンプの失敗をして4位という順位に。フリースケーティングでは久しぶりに4回転ループも入れて、4回転を合計6本予定していた。そのうち4本成功させてフリーは2位と挽回したものの、総合3位に終わった。
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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