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「箱根はウチに向いている」青学大の“超・高速駅伝”は史上最強なのか? 原監督采配ズバリの区間配置の真相《独走で総合優勝》
posted2022/01/03 20:25
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
AJPS/PICSPORT
ある青山学院大のOBがいう。
「強すぎるので、卒業生でもちょっと怖いくらいです」
今年の箱根駅伝、青学大が後続に影をも踏ませぬ独走状態を築き、10時間43分42秒の大会新記録で総合優勝を飾った。
この記録は、どれだけすごいのだろうか。
4位に入った東洋大の酒井俊幸監督が言う。
「復路でも1キロを2分50秒で押せる選手が青学さんには揃っているということです。これまでは復路だったら、1キロ3分で十分に戦えたんですけどね。青学さんの場合、本来は往路を走る人材が復路に回っているわけです。実際に、青学さんには3人、往路の経験者がいましたし」
“9区で区間新”中村唯翔は前回2区
7区を走った岸本大紀(3年)は前々回の2区を走った優勝メンバー、8区の佐藤一世(2年)は前回の4区、9区で区間新記録をマークした中村唯翔(3年)は前回2区をそれぞれ担当している。
青学大の原晋監督は優勝会見でこう話した。
「本来であれば往路に回ってもいい5人が、復路を走りました。要は、往路を走った選手たちが成長したおかげで、岸本、佐藤、中村を復路に回すこのオーダーを組めたわけです」
原監督の区間配置には定評がある。取材をしていると、青学大の選手だけではなく、他校の選手についても「彼の適性は8区じゃなく、4区」とパッと答えが返ってくるほどだ。「365日、箱根のオーダーを考えています」という言葉はサービストークではなく、本当に考えているのだ。