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那須川天心の「RIZIN卒業マッチ消滅危機」に立ち上がった五味隆典の“漢気回答”とは? 榊原信行CEOが語る大晦日の舞台裏
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byKoji Fuse
posted2021/12/30 17:05
那須川天心のRIZINラストマッチの相手は、紆余曲折を経て五味隆典に決定。榊原信行CEOは「五味の漢気に救われた」と深く感謝する
決着もありとはいえ、直前に決定した試合であるがゆえに、契約体重はなし。決戦当日、両者には15~20kgほどの体重差があることが想定される。榊原CEOは「勝負論として薄い形になるかもしれない」と本音を漏らす。
「でも、3分2ラウンド、階級の差を乗りこえ、思い切り殴り合うだけでも迫力はある。五味にもワンチャンスはあるでしょう」
満員の会場が生み出す「化学反応」に期待
12月25日に発表した那須川vs五味で全16試合が出揃った。榊原CEOは「全体を見渡すと、壮観なマッチメーク」と胸を張る。
「2015年からフジテレビさんと一緒に大晦日のイベントを作ってきた。今年で7年目を迎えます。正味6年で、これだけ皆さんの期待を背負える選手たちを作り出すことができました」
今大会は那須川のRIZINラストマッチが含まれていることも手伝い、世間の注目度はすこぶる高い。新型コロナなど、どこ吹く風だ。榊原CEOは「メイウェザー戦以来のソールドアウト」と微笑をこぼした。
「メイウェザーのときよりお客さんは入ります。たぶん3万人近く入る。ソーシャル・ディスタンスに慣れた人からすれば、『昔はこんなに近くに隣の人がいたんだ』と驚くほどキチキチに入りますよ」
そうなると、出場する選手たちのモチベーションも違ってくる。
「この2年間のコロナ禍でファンになってくれた人は、たぶん今まで味わったことのないような地鳴りを味わうことになる。この1~2年はなかった臨場感や熱が生まれるイベントになると予想します」
以前、榊原CEOは1回のライブで何万人もの観客を集める、ある有名アーティストにこんなことを言われた。
「何万人という人が1点を見つめたときのパワーを、榊原さんは味わったことがないからわからないんだよ」
アーティストが立つステージをリングに見立てたら、同じパワーが生まれても不思議ではない。榊原CEOは「みんなに見つめられることで、さまざまな化学反応が起こる」と期待する。
「そのエネルギーのすさまじさは、あの四角いジャングルに入った人にしかわからない。選手が100%以上のパフォーマンスを見せたら、それがファンに伝わり、信じがたいエネルギーの交感が起こるんですよ」
大晦日、我々は久しぶりに格闘技ライブの底力を体感することになるのか。
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