濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「ディズニーとユニバくらい交わらない世界だった」那須川天心vs武尊がついに実現…夢の一戦は究極の“ほこたて対決”に?
posted2021/12/27 17:15
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Susumu Nagao
那須川天心はこれまで数々の強豪に勝ってきたが、今年の12月24日にはサンタクロースにまで勝ってしまった。いや、本人としてはそれくらいの手応えなのだ。
この日、発表されたのは那須川天心vs.武尊のメガマッチ。記者会見での那須川の第一声は「メリークリスマス」だった。長く格闘技ファン、いや世間一般も巻き込んで待望されていた一戦がクリスマスプレゼントというわけだ。会見後に公開された密着映像で「サンタクロースに勝ったっしょ」と那須川は言った。
試合が行なわれるのは来年6月。正式な日時、会場は追って発表される。24日の会見は、対戦合意を受けてできるだけ早くファンに伝えたいという狙いから決まったものだ。それだけ待たれていた試合なのである。
武尊が「中立なリング」にこだわったワケ
両陣営との調整役を務めたのは、RIZINのCEOである榊原信行。RIZINの会見での囲み取材でも、このところ毎回、那須川vs.武尊に関する質問が飛んだ。その度に榊原は「今回もノーコメントで」とはぐらかした。実際には交渉が進んでいたのだが、「RIZINの場所で言う話ではない」と判断したのだ。
24日の会見、榊原が両選手とともに登壇したものの、バックにあったのは金屏風だ。そこにはRIZIN、武尊が属するK-1、那須川がデビューした主戦場RISE、どのロゴマークもなかった。K-1でも、那須川が参戦しているRISEでもRIZINでもない中立の舞台、それが対戦に向けた武尊の希望であり、新しい大会を作るにあたっての座組に関しても、これから詳細を詰めていくことになる。
中立なリングで、という条件には、武尊の切実な思いがあった。彼は会見でこう話している。
「中立なリングで試合をすることで、昔の格闘技界みたいに団体関係なく、強い選手同士がやり合って最高に盛り上がる夢の舞台にしたい。そのために(決定まで)時間がかかったところはあったんですけど。(対戦が決まらず)僕がいろんなことを言われた時に、それでも離れずついてきてくれたファンの人たち、応援してくれる人たち、K-1の後輩たち、いろんな人の気持ちを背負って必ず勝ちます」