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ラプターズ渡邊雄太を叱咤激励するバンブリート、出会いは7年前のクリスマス「僕らを苦しめていたやせっぽちのキッド」
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byGetty Images
posted2021/12/29 11:04
ジョージワシントン大時代の渡邊雄太にとって転機になった試合が、14年12月25日ウィチタステイト大との一戦だった。対戦相手にいたバンブリートとは現在チームメイト
それから、いくつものターニングポイントを経て、渡邊は昨季、トロント・ラプターズに加わり、バンブリートのチームメイトになった。すでにラプターズのリーダーのひとりだったバンブリートと、入ったばかりで、まだツーウェイ契約選手だった渡邊。少し遠慮もあったが、ある日思い切って、大学時代の試合の話を振ってみたという。
「どうせ覚えていないだろうと思ったんですけれど、案の定、覚えていませんでした」と渡邊は苦笑した。正確に言うと、ダイヤモンドヘッド・クラシック決勝でGWに負けたことは覚えていたが、その試合で活躍していた1年生が渡邊だったということは気づいていなかった。
もっとも、覚えていないのもしかたない。バンブリートにとっては「大学時代のワーストゲーム」、忘れたい試合だったことは間違いない。
それでもバンブリートは、渡邊と話した後、その試合を見返してみたという。
「試合を見返してみたら、僕らを散々苦しめていたやせっぽちのジョージワシントン大のキッドがいて、それが彼だったんだ」とバンブリート。
今、バンブリートと渡邊は、ロッカールームで隣同士ということもあって、よく話をする間柄だ。NBAでの経験年数こそ違うが、同じ27歳。2人ともドラフト外からNBA入りし、トレーニングキャンプの競争を勝ち抜き、下部リーグも経験した苦労人という点では似た者同士。チームメイトとして1年余り過ごす間に、その関係は深まってきている。
交流を深め、互いにリスペクトする存在に
渡邊はバンブリートとの関係について、こう語っている。
「彼とは本当にすごくいい関係を築けていると思います。彼も同じようにアンドラフト(ドラフト外)からGリーグ(バンブリートの頃はDリーグ)でプレーして、今、ああやってすばらしい選手になっている。プレイヤーとしてもリーダーとしても、すごく尊敬しています」
バンブリートも、バスケットボールIQが高く、常に全力でプレーし、試合中に厳しい言葉をかけてもきちんと受け止められる渡邊を、「好きなチームメイトのひとり」と呼び、「僕らは特別な関係を築いているんだ」と言う。
「僕らはお互いによく話し、色々と学んでいる。ロッカーが隣だから、僕が自分の考えを話したり、彼も考えていることを話したりしている」