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藤田一也39歳「えっ、選手一本ですか?」本人も驚いた10年ぶりのDeNA復帰「ハマスタでプレーできたらって心の奥底で…」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKYODO
posted2021/12/27 06:01
12月10日、入団記者会見に臨む藤田。「言葉に表せない気持ち」と喜びを語った
幾重にも年輪をかさねた経験の数々。来年40歳になる藤田は、DeNAの選手たちのなかで最年長となる。ルーキーの牧秀悟や、守備に定評がある大和や柴田竜拓が競争相手。プレイヤーとして厳しい戦いを強いられることは間違いないが、藤田は自分になにが求められているのか理解しているつもりだ。
「能力の高い若い選手が多い印象なので、なにかひとつでも彼らのプラスになることをアドバイスができたらと」
そう言った次の瞬間、言葉の熱量が上がった。
ベテランの最後の目標
「ただ、やっぱり自分も選手として切磋琢磨していきたい。競い合いやしのぎ合いがないと、強い選手は生まれません。強いチームには勢いのある若い選手が出てくるものですが、そういった選手と一緒に戦って、いいチームを作れたらと思っています。そしてプロに入ったとき目標にしていたベイスターズでの優勝と日本一、これを必ず叶えたいって」
キャリアは晩年であり、DeNAが現役として最後の場所になるかもしれない。まさかここに来て、10年ぶりにベイスターズのユニフォームに袖を通す未来を、藤田は想像することはできたのだろうか。
藤田は黙考し、間をおいて答えた。
「いや、正直なかったですね。うーん、自分の野球人生が終わってしまうかもしれない状況にあって、最初はどこでもいいからプレーをしたい気持ちだったことは間違いありません。けど……現実感はなかったけど、どこかでベイスターズのユニフォームが着られたら、ハマスタでプレーできたらって想いは心の奥底にはあったのかなって……」
藤田一也は、望まれて横浜に帰ってきた――。