「あっという間の10年でした。チームとして個人として嬉しかったことは数多くありましたし、またこの何年かは苦しい思いもしましたけど、これ以上ない充実した日々だったと思います。楽天での経験があったからこそ、この年齢まで現役をつづけられたし、今回ベイスターズにも拾っていただけた。本当、楽天には感謝しかありません」

　仙台では楽天のために全身全霊を傾け戦っていた藤田だったが、やはり故郷ともいえるベイスターズはいつも気になる存在だった。

「本当、めちゃくちゃ気にしていましたね。ただ年々一緒に戦ってきたメンバーがいなくなっていき、寂しくはなりましたが……」

　藤田同様DeNAの前身時代に入団した現役選手は現在、投手の田中健二朗しかおらず、時の流れを感じさせる。

抱き続けたハマスタへの思い

　セ・パ交流戦で久しぶりに横浜スタジアムを訪れると、自分がいたときにくらべ観客がだんだんと増えていくのが手に取るようにわかった。ハマスタのうねりをともなった迫力のある大歓声は、楽天の藤田にも降り注いだ。

「ハマスタの歓声って12球団で一番グラウンドに響くんですよ。ビジターの僕にも、鳥肌の立つような声援を送ってくれました。ここをホームとしてプレーできる選手たちは、ファンの後押しでいつも以上の力を発揮することができるんじゃないかって思いましたよね。時代は変わったと実感してましたし、だから僕自身、ハマスタでホームとして戦えるのが楽しみなんです」

　ハマスタばかりでなくイースタン・リーグ公式戦で訪れる横須賀スタジアムや平塚球場でも藤田には数多くの声援が飛んでいた。

「ベイスターズのファンからの大きな拍手はもちろん『藤田～！』と声をかけてもらったり。だから、いつまで経ってもベイスターズは忘れられないなって」

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