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「マスコミを大事にしろ」「引退した後のことも考えておけよ」名将・野村克也から真中満が学んだ“監督の心得”とは
posted2021/12/17 17:03
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Sankei Shimbun
日本ハムの“ビッグボス”新庄剛志監督の話題がメディアを席巻するなど、例年以上に“監督”に大きな注目が集まっているオフシーズンのプロ野球。そこで『Number Web』では、1990年から2020年までの日本シリーズ優勝監督の中から「あなたが選ぶ最高の名将は誰ですか?」というテーマでアンケートを実施した(#1で6~10位の結果、#2で1~5位の結果を公開中)。
全891票中334票を獲得して1位に輝いたのは、ヤクルトを率いて3度の日本シリーズ制覇を達成し、24年の監督生活で通算1565勝をあげた故・野村克也監督だった。同アンケートの結果について、野村監督をよく知る人物はどのような感想を抱いたのだろうか。現役時代に野村監督の指導を受け、2015年には自身も監督としてヤクルトをリーグ優勝に導いた真中満氏に話を聞いた。
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野村さんがアンケート1位ですか。当然だとは思いますが、やはり嬉しいですね。僕自身も野村さんにいろいろなことを教わったおかげで今の自分がある。もしこのアンケートに参加していたら、迷うことなく「野村克也」と書いたと思いますよ(笑)。
あらためて野村さんが素晴らしい監督だったと感じるのは、ヤクルトの高津監督はじめ、後進の指導者が今の野球界でこれだけ活躍しているということですね。野村さんはよく「財を遺すは下、仕事を遺すは中、人を遺すは上とする」と仰っていました。試合に勝つ、負けるという部分以上に、「人を育てる」ことを大切にしていた方が、現にこうして多くの人を遺している。これはやっぱり、本当の意味での名将にしかできないことでしょうね。
野村監督と落合監督は「真逆」だけど似ている?
野村さんの教えを振り返ると、監督として僕が一番影響を受けたのは「マスコミを大事にしろ」という話です。野村さんの考えでは、監督はチームの「顔」であり広報でもある。メディアを通して球団の魅力を発信することでファンを増やすのはもちろん、野球界を盛り上げ、いろんな角度から選手のモチベーションを上げることもできるわけです。野村さんは試合前にはかならずマスコミを座らせて、いろんな人と喋っていましたね。「チームをマネジメントするうえで、メディアの力を使わない手はない」と考えていたんじゃないかな。