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「こんな大金見たことない」 ジャイアント馬場16歳《高校2年で中退して巨人入団》の真相と、知られざる球児時代 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2021/12/20 11:02

「こんな大金見たことない」 ジャイアント馬場16歳《高校2年で中退して巨人入団》の真相と、知られざる球児時代<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

存命時のジャイアント馬場さん。巨人軍時代はどんな投手だったのか

「主戦投手馬場は六尺三寸四分という恐らくは全国高校野球界一の巨漢であろう。ところが球威もなく、カーブのキメ球も持たぬが、その巨体から投げ下ろす重い球は、打たれても伸びない。凡打で打ち取るという戦法。渡辺野球部長は“球にもう少しスピードが加わればな”と長嘆している」

 三条実業は、一度も甲子園に出たことはなかったが、馬場の登場でダークホース的な存在になった。

 馬場を擁する三条実業は、いよいよ甲子園の予選に挑戦する。7月8日に長岡市悠久山球場で行われた中越地区予選1回戦で、長岡高と対戦したが、0-1で惜敗した。馬場正平は、8回を投げて4被安打2奪三振、4四球、自責点は0だった。

 戦評によると「実力は互角で最後まで予断を許さなかったが、長高(※長岡高)は7回二死走者一、三塁のとき敵失で一点を拾い勝敗を決してしまった。長高・佐々木のインシュートはよく決まり、一方三条実馬場投手の六尺豊かな巨体から繰り出す重い球を両軍ともうちあぐみ、貧打戦だった」とある。

 多くの高校球児と同様、馬場も甲子園を目指したが、その夢はあっけなくついえたわけだ。

高橋ユニオンズの入団テストに出願したが

 後年の自伝で馬場は、「三条実業は長岡工に0-1で敗れた。自分が9回に三塁打を打たれ、味方の失策で負けた」と書いているが、これは馬場の記憶違い。馬場は8月に行われた秋季大会でも先発して、長岡工にも0-1で負けている。秋季大会は翌年春の甲子園につながる重要な大会だ。馬場はこの試合でも敗退したことで、高校野球を続ける情熱を失ったと考えられる。

「甲子園は到底無理」という現実を突きつけられて、馬場は焦燥を感じる。そんなときにバッテリーを組んでいた同じ2年生の捕手・高橋伸義が野球雑誌に載った「高橋ユニオンズが入団テスト」という記事を持ってきた。

 2人で願書を提出すると、「岡山の入団テストを受けに来い」という連絡がきた。「岡山は遠いから行けない」と返事をすると、今度は川崎球場で行われる入団テストに来いという連絡が入った。

 高橋ユニオンズはパ・リーグに所属し、創設2年目を迎えようとしていた。弱小チームで、巨人や南海のように有名選手を獲得する財力はなかったために、テストで隠れた有力選手を見つけ出そうとしていた。

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