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《J2降格》武藤嘉紀が称えた「本当に良いチーム」の悲しい結末… 徳島ヴォルティスは“強いチーム”としてJ1再昇格を誓う
posted2021/12/07 11:01
text by
原壮史Masashi Hara
photograph by
Masashi Hara
「ピッチの中でこの1年間起きたこと、ピッチ外で起きたこと、その全てに向き合ってきた自信があります」
徳島ヴォルティスのキャプテン、MF岩尾憲が試合後の最終戦セレモニーで語る。
「スタッフも、選手も、苦しい状況から逃げることなく今日までチームとして進んできたと、胸を張って言えます」
2020年のJ2を制し、2014年以来2度目のJ1挑戦となった徳島は“J1定着”を掲げて2021年を戦ってきた。しかし、結果は最終節での降格。定着は果たせず、1年でJ2に戻されることになった。
それでも、岩尾がそう語れるように、徳島は間違いなく“良いチーム”だった。
3勝しかできなかった2014年のような、J2に送り返されて当然、という見られ方をするチームではなかった。明確なスタイルを持つチームとしてシーズン10勝。自チームのサポーターだけでなく、他チームのサポーターや選手たちから見ても良いチームだった。たとえばヴィッセル神戸のFW武藤嘉紀は11月6日の試合後(1-0で神戸が勝利)に「徳島、本当に良いチームだったなー。J1に残ってほしい」とTwitterに投稿している。
前監督が作り上げた徳島の“面白いサッカー”
今回のJ1挑戦を振り返る際に外せないのはリカルド・ロドリゲス前監督の存在だ。
クラブ初の外国人監督は「クラブのスタイルをしっかりと築きながら目標(J1昇格)を達成していきたい」(岡田明彦強化部長)という狙いのもと2017年に招聘され「徳島に確立したスタイルを植え付けたい」「スタイルを確立し、徳島としてのアイデンティティを持つことによって、リーグの中で競争できると思う」という就任会見のコメント通りのチームを作り上げていった。
アグレッシブなプレスと、パスを繋ぎながら相手の動きを把握し、動かし、対面の相手に仕掛けて運び、崩すという攻撃で“面白いチーム”として注目されるようになると、2019年にはJ1参入プレーオフで決定戦まで進んだ。ここでは湘南ベルマーレと引き分けて昇格は叶わなかったものの、翌2020年にはJ2を優勝して文句なしの昇格を果たした。
J1昇格という目標を達成した指揮官は浦和レッズへ旅立ったものの、徳島としてのスタイルは確立された。クラブは前監督と同じスペイン人のダニエル・ポヤトス監督を招き、クラブ2度目となるJ1を戦った。