酒の肴に野球の記録BACK NUMBER

鈴木誠也は「年俸8.4億円」でもメジャーならお買い得? 同世代・大谷翔平の活躍が追い風…理想像は“あの助っ人” 

text by

広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

PROFILE

photograph byJMPA/Getty Images

posted2021/12/08 11:02

鈴木誠也は「年俸8.4億円」でもメジャーならお買い得? 同世代・大谷翔平の活躍が追い風…理想像は“あの助っ人”<Number Web> photograph by JMPA/Getty Images

メジャーに挑戦する鈴木誠也。身体能力が高い右の強打者として、全盛期のアダム・ジョーンズのようなタイプになれるか

 イチローや松井秀喜のように、MLBでも活躍したと言える打者であっても、NPB時代に比べれば打率は下がり、本塁打数も大幅に減少しているのだ。

 NPBの野手は、MLBに移籍すれば「小型化」するのだ。

 ただ1人、OPSも本塁打もNPB時代より向上しているのは、言わずと知れた今季ア・リーグのMVP大谷翔平だ。

 大谷は打率こそNPB時代より下がったが、OPSも本塁打も増加している。特に本塁打はNPB時代の1.4倍にもなっていて、大谷翔平のすごさを感じるところではある。

では、鈴木誠也はどうなのか?

 では、鈴木誠也はどうなのか。

 17人の平均ではMLBでのOPSはNPB時代の88.9%、安打数は88.4%、本塁打は55.1%、打点は71.1%、盗塁は92.7%になる。

 これらの数字を鈴木誠也の過去3年成績にあてはめ、かつ162試合制に換算すると……。

NPB
143試500打159安33本92打点 14盗 率.318 OPS1.015

MLB
162試566打159安19本74打点 15盗 率.281 OPS.902

 鈴木誠也も例に漏れず「小型化」する可能性が高いとみられる。NPBでは6年連続3割、20本塁打をマークし、屈指の強打者の鈴木だが、MLBでは最強打者の打順とされる2番ではなく、1番または5、6番を打つクラスの打者になると考えられる。

 ただ現在のMLBは、小型化することを見越したうえで、なおかつ鈴木に食指を伸ばしている印象がある。

 鈴木の年俸は2.8億円とされるが、たとえMLBに移籍して年俸が3倍になっても8.4億円。MLBの平均年俸が4.3億円、レギュラークラスの打者は15億円以上が当たり前になる中で、確実に成績が見込めるとすれば「お買い得」という計算も成り立つ。

 しかも鈴木誠也はゴールデングラブを5回受賞、外野守備も一級品なのだ。さらに最高出塁率も2回獲得、選球眼も非常に良い。

全盛期のジョーンズも守備の名手+打てる右の外野だった

 打率.280前後、20本80打点10盗塁と言えば、このレベルの成績を確実にあげ続けることでスターになった選手が身近にいた。今年の日本シリーズでも活躍したオリックスのアダム・ジョーンズだ。

 ジョーンズは3割こそマークしたことはないが、オリオールズ時代には.280以上、20本塁打以上を各7回、80打点以上を6回、10盗塁以上を5回記録。外野手として守備の名手に与えられるゴールドグラブを4回、オールスターに5回出場している。

 ともに右打者でもあるし、MLB関係者は「鈴木誠也というのは、いい時のアダム・ジョーンズのような外野手だ」という評価なのではないかと思う。

 もう一つ言えば、鈴木誠也は1994年生まれ。つまり「大谷世代」である。

【次ページ】 大谷と同世代、という中でのポテンシャル

BACK 1 2 3 NEXT
#鈴木誠也
#広島東洋カープ
#アダム・ジョーンズ
#オリックス・バファローズ
#大谷翔平

MLBの前後の記事

ページトップ