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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
鈴木誠也は「年俸8.4億円」でもメジャーならお買い得? 同世代・大谷翔平の活躍が追い風…理想像は“あの助っ人”
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byJMPA/Getty Images
posted2021/12/08 11:02
メジャーに挑戦する鈴木誠也。身体能力が高い右の強打者として、全盛期のアダム・ジョーンズのようなタイプになれるか
大谷世代よりも上の選手はMLBに移籍しても、NPB時代の「貯金」を元手に野球をした印象がある。
そういう選手でもNPBの野球のままでは通用しない。挫折を経て適応するなり、中軸打者からつなぐ打者へと役割を変えるなり、何らかのメタモルフォーゼが必要ではある。
筒香嘉智はまさにその過程にあると言えるが、大谷翔平はこれらとは異次元の進化を遂げた。大谷は2020年オフにシアトルの「ドライブライン・ベースボール」に自費で通い、自らの打撃、投球について解析し、肉体改造、打撃改造を行った。そして今季の驚異的な成績につなげたのだ。
大谷と同世代、という中でのポテンシャル
「日本人選手はなかなか日本のスタイルから抜け出せないが、オータニはメジャーリーガーをはるかに超える進化を遂げた」
という評価がある中、同世代の鈴木誠也もそういうポテンシャルがあるのではないか、という期待もあるだろう。
これまでMLBに移籍したNPBの17選手のうち、右打者は新庄剛志、田口壮、井口資仁、城島健司、中村紀洋の5人だけ。MLBを目指すも果たせなかった中島宏之を含めても6人。城島健司は「打てる捕手」と言われ、井口資仁は脇役としてチームに貢献したが、中軸打者として活躍した選手はいない。
NPBでは左打者がやや優位のため、どうしてもMLBに移籍するのも左打者が多い。しかしツープラトンの考え方が支配的なMLBでは、実績が上がらない左打者は左投手が先発だと下げられることもあるが、右打者の鈴木誠也は、そういう懸念がない。これもプラス材料ではあろう。
鈴木誠也は入団時には181cm83kgだったが、今年は181cm98kg、上体の筋肉は盛り上がり肩幅の広い偉丈夫になった。より良い選手になるために、肉体改造を含め自らを変革できる選手なのだ。
いろんな課題がありそうだが、来春、メジャーリーガーになった鈴木誠也を見てみたい。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。