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筒香嘉智はベイスターズ時代から「大器晩成スラッガー」 挫折から学び、再生してのメジャー3年目はさらに光るはず

posted2021/12/08 11:01

 
筒香嘉智はベイスターズ時代から「大器晩成スラッガー」 挫折から学び、再生してのメジャー3年目はさらに光るはず<Number Web> photograph by Emilee Chinn/Getty Images

パイレーツでついに才能の一端を見せた筒香嘉智。2022年こそシーズン全体での大活躍を期待したい

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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大谷翔平の大活躍で沸いた2021年のメジャーリーグ。パイレーツで結果を出した筒香嘉智、ポスティングでの大リーグ挑戦を決めた鈴木誠也という2人の強打者の「2022年」を展望してみた(全2回/鈴木誠也編も)

 筒香嘉智がピッツパーグ・パイレーツと新たに1年契約を結んで残留することが決まった。案外早かったなというのが率直な印象だ。

 本来なら選手の異動は12月のMLBウィンターミーティング後に始まるが、今季はMLBと選手会の労使協定が12月1日に有効期限を迎えた。交渉は難航が予想される中、各球団は旧協定が活きている間に必要な選手を抑え込もうとしたようだ。

筒香のような経緯をたどった日本人野手は希少

 NPBからMLBに挑戦した野手は大谷翔平を含め18人を数えるが、筒香のような経緯をたどった選手はほとんどいない。

 現役の秋山翔吾と大谷翔平を除くと、MLBで活躍してキャリアを終えたのはイチローと松井秀喜だけ。他はMLBで数年活躍してNPBに復帰するか、MLBで満足な成績を上げられずマイナー落ちして1~2年で復帰するか、のいずれかだ。

 筒香はDeNAからポスティングでタンパベイ・レイズに入団。コロナ禍でペナントレースが60試合に短縮された1年目は8本塁打を打ったが、2年目は極端な不振に陥りシーズン中にレイズからドジャースにトレードされる。

 しかしここでも成績を上げられず、マイナー契約になりドジャース傘下のAAAオクラホマシティ・ドジャースでプレーする。これまでの日本人選手なら、この時点で挑戦を断念してNPB球団への復帰を図ったはずだ。

 しかし筒香は、真夏のマイナーリーグで復活して好成績を挙げ、ピッツバーグ・パイレーツとメジャー契約を結び、8月半ばから目覚ましい活躍をしたのだ。まさにV字回復。こうしたケースは今までなかった。

 ここ2年の筒香を数字で見ると、以下のようになる。

2020年/レイズ
51試157打31安8本24点率.197 OPS.708
2021年/レイズ
26試78打13安0本5点率.167 OPS.462
/ドジャース
12試25打3安0本2点率.120 OPS.410
/ドジャース傘下オクラホマシティ
43試148打38安10本32点率.257 OPS.868
/パイレーツ
43試127打34安8本25点率.268 OPS.883

 OPSは長打率と出塁率の和。この数値が8割を超えると強打者、9割で中軸打者と言われる。ちなみにNPB時代の筒香の通算OPSは.910、侍ジャパンの4番を打つだけのことはある成績だった。

マイナーに移籍してから一変したスタッツとは

 2020年、レイズ時代の筒香の成績もそれほど良くはなかったが、2021年は全くの不振、レイズでは長打は二塁打4本だけ。ドジャースでは単打が3本とさらに落ち込んだ。

 それが6月にマイナーのオクラホマシティに移籍してから一変した。

【次ページ】 横浜高→ベイスターズでの覚醒も5年の歳月がかかった

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