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鈴木誠也は「年俸8.4億円」でもメジャーならお買い得? 同世代・大谷翔平の活躍が追い風…理想像は“あの助っ人”

posted2021/12/08 11:02

 
鈴木誠也は「年俸8.4億円」でもメジャーならお買い得? 同世代・大谷翔平の活躍が追い風…理想像は“あの助っ人”<Number Web> photograph by JMPA/Getty Images

メジャーに挑戦する鈴木誠也。身体能力が高い右の強打者として、全盛期のアダム・ジョーンズのようなタイプになれるか

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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大谷翔平の大活躍で沸いた2021年のメジャーリーグ。パイレーツで結果を出した筒香嘉智、ポスティングでの大リーグ挑戦を決めた鈴木誠也という2人の強打者の「2022年」を展望してみた(全2回/筒香嘉智編も)

 鈴木誠也がポスティングシステムを利用してMLBに挑戦することを表明した。

 MLBは労使交渉が期限の12月1日までにまとまらず。経営者側はロックアウトを宣言した。ポスティングシステムについても見直すことになっているので、先行き不透明にはなったが、選手側も悪夢のようなストライキを再び選択するとは思えない。いずれ収束することを前提にして、鈴木誠也のMLB挑戦について考えたい。

 NPB打者の移籍に関しては、日米双方ともに疑問符が付くような報道が多いのだが、鈴木誠也に関しては日米双方ともに期待感を膨らませる報道が目立っている。

 今回に限り、なぜこんな報道になっているのか? 実際のところ、NPBからMLBに移籍した打者で「活躍した」と言える選手は極めて少ないのだ。

OPSが上がっているのは“大谷だけ”

 NPBからMLBに移籍した17人の選手でNPBの成績と、MLBでの成績を比較しよう。

 OPSは長打率と出塁率の和、打者の総合指標。本率は100打数当たりの本塁打数。選手名の横は、OPSと本率のNPBとMLBの比較。現役選手は2021シーズン終了時点での成績となっている。

・イチロー OPS80.28% 本率/36.12%
MLB/3089安117本(本率1.18)780打点/率.311 OPS.757
NPB/1278安118本(本率/3.26)529打点/率.353 OPS.943

・松井秀喜 OPS82.53% 本率/54.25%
MLB/1253安175本(本率/3.94)760打点/率.282 OPS.822
NPB/1390安332本(本率/7.26)889打点/率.304 OPS.996

・大谷翔平 OPS103.61% 本率/143.24%
MLB/370安93本(本率/6.64)247打点/率.264 OPS.890
NPB/296安48本(本率/4.64)166打点/率.286 OPS.859

・青木宣親 OPS86.11% 本率/56.41%
MLB/774安33本(本率/1.22)219打点/率.285 OPS.738
NPB/1284安84本(本率/2.15)385打点/率.329 OPS.857

・井口資仁 OPS90.12% 本率/50.93%
MLB/494安44本(本率/2.39)205打点/率.268 OPS.739
NPB/860安149本(本率/4.69)507打点/率.271 OPS.820

・城島健司 OPS82.21% 本率/56.99%
MLB/431安48本(本率/2.98)198打点/率.268 OPS.721
NPB/1206安211本(本率/5.23)699打点/率.299 OPS.877

・松井稼頭央 OPS82.67% 本率/42.98%
MLB/615安32本(本率/1.39)211打点/率.267 OPS.701
NPB/1433安150本(本率/3.23)569打点/率.309 OPS.848

・岩村明憲 OPS81.36% 本率/19.72%
MLB/413安16本(本率/1.04)117打点/率.267 OPS.720
NPB/1073安188本(本率/5.25)570打点/率.300 OPS.885

・福留孝介 OPS80.21% 本率/43.68%
MLB/498安42本(本率/2.18)195打点/率.258 OPS.754
NPB/1175安192本(本率/4.98)647打点/率.305 OPS.940

・新庄剛志 OPS91.76% 本率/60.48%
MLB/215安20本(本率/2.28)100打点/率.245 OPS.668
NPB/955安145本(本率/3.78)518打点/率.249 OPS.728

・田口壮 OPS99.58% 本率/84.81%
MLB/382安19本(本率/1.39)163打点/率.279OPS.717
NPB/1134安67本(本率/1.64)404打点/率.277OPS.720

・川﨑宗則 OPS84.23% 本率26.76%
MLB/150安1本(本率/0.16)51打点/率.237 OPS.609
NPB/1343安27本(本率/0.59)369打点/率.294 OPS.723

・田中賢介 OPS83.78% 本率/0%
MLB/8安0本(本率/0)2打点/率.267 OPS.620
NPB/1052安39本(本率/1.06)325打点/率.286 OPS.740

・筒香嘉智 OPS76.59% 本率/69.09%
MLB/81安16本(本率/4.13)56打点/率.209 OPS.697
NPB/977安205本(本率/5.98)613打点/率.285 OPS.910

・秋山翔吾 OPS71.65% 本率/0%
MLB/71安0本(本率/0)21打点/率.224 OPS.594
NPB/1405安116本(本率/2.48)513打点/率.301 OPS.829

・中村紀洋 OPS40.09% 本率/0%
MLB/5安0本(本率/0)3打点/率.128 OPS.350
NPB/1294安307本(本率/6.34)916打点/率.267 OPS.873

・西岡剛 OPS63.75% 本率/0%
MLB/50安0本(本率/0)20打点/率.215 OPS.503
NPB/911安55本(本率/1.77)300打点/率.293 OPS.789

松井、イチローであっても“小型化”した

 ただ一人の例外を除いて、NPBからMLBに挑戦した選手はOPSも本塁打も激減している。

【次ページ】 では、鈴木誠也はどうなのか?

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