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「おまえよりいい女と付き合うから別れるぜ」こっぴどくフラれた名将たちとインテル、ユーべのリベンジマッチが熱かった! 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2021/11/27 17:00

「おまえよりいい女と付き合うから別れるぜ」こっぴどくフラれた名将たちとインテル、ユーべのリベンジマッチが熱かった!<Number Web> photograph by Getty Images

今季より率いるナポリを首位に導くスパレッティは、捨てられるように解任されたインテルに遺恨を残す

 だが、勝負の世界にいる以上、監督とクラブの綺麗な別れ方は難しい。

 合意を経て契約サインを交わした日から、本来両者は運命共同体だ。結果が出なければいつでも手の平返しがあると分かっていたとしても、関係が決裂すれば一度は心通わせた相手だけに可愛さ余って憎さ百倍、遺恨が生まれる。

モウリーニョは古巣インテルと初めて相まみえる

 温厚な人柄で知られる名将カルロ・アンチェロッティも、1999年から3シーズン率いたユベントスには「2度と戻らない」と公言しているし、逆にミラン時代の愛弟子ピルロは2010-11シーズン終了後に契約更改を拒み、選手として見限った古巣ミランに対し冷めた感情しか持っていない。

 果たして、幸せな“元サヤ”はあるのか。

 闘将シニシャ・ミハイロビッチが指導者キャリア駆け出しだった頃、ボローニャで初めて正監督となり5カ月限りでクビにされたのは2009年4月のことだ。

 その苦い経験の10年後、2019年1月にミハイロビッチは低迷する古巣からSOSを受け、馳せ参じるや後半戦の17試合で勝ち点30を荒稼ぎしてボローニャを奇跡的残留へ導いてみせた。

 これこそ、自身の過去へ向けた最高の意趣返しだろう。

 先月下旬、延べ7シーズンを過ごした古巣ローマとナポリ監督スパレッティによる今季初対戦は、0-0の痛み分けに終わった。ナポリは今週末、今もクラブ愛を隠さない元監督サッリ率いるラツィオをホームゲームに迎える。

 12月4日に予定されている注目カードは、ジョゼ・モウリーニョが2010年に遂げた偉業“トリプレーテ”(三冠)”後、初めて古巣と相まみえる「ローマ×インテル」だ。

「どんな監督であっても、勝利とリベンジに飢えている」

 今季開幕前、イタリア代表のコーチングスタッフを辞して、独立を決意したダニエレ・デロッシは、一介の指導者としての矜持を看破した。

 セリエAの因縁対決は連綿と続く。“元恋人”がいなくなることはない。

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