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「おまえよりいい女と付き合うから別れるぜ」こっぴどくフラれた名将たちとインテル、ユーべのリベンジマッチが熱かった!
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2021/11/27 17:00
今季より率いるナポリを首位に導くスパレッティは、捨てられるように解任されたインテルに遺恨を残す
シーズン終了1カ月前に信任を約束したはずのジュゼッペ・マロッタCEOは解任理由を「我々が欲しいのは優勝できる監督」と言い放ち、スパレッティの傷口へ塩を塗り込んだ。
屈辱の業火に焼かれたスパレッティは、その場は黙って身を引いて反撃の機会を待った。秋にマルコ・ジャンパオロ監督を解任したミランから「後任に」と請われたが、インテルが契約を盾に現場復帰を認めなかったため、恨みはさらに増した。
インテル側は監督の言い分をデタラメだと否定し、両者の関係は泥仕合になっている。
過去を過去と割り切る気にはなれない
臥薪嘗胆の末、スパレッティは今季からナポリで2年ぶりに現場復帰した。
そして、開幕12戦無敗を記録して首位快走。敵将としてサン・シーロに帰還した21日のインテル戦は、遺恨を晴らす絶好の機会のはずだった。
キックオフからフィジカル勝負で拮抗した試合はナポリMFジーリンスキが先制。しかし、シモーネ・インザーギ新監督の指導が浸透しつつあるインテルの攻勢に崩され後半までに3失点……。2-3の逆転負けでリーグ戦初黒星を喫した。
さらに、後半の接触プレーでピッチを後にしたFWビクター・オシムヘンの左目眼窩及び頬骨の複雑骨折が判明し、攻撃の柱の長期離脱が避けられない見通しとなった。
古巣への仕返しどころか返り討ちに遭ったスパレッティは試合後、「私はリベンジなど考えたこともない」と嘯いた。
だが、苦渋の本音は前日会見での言葉に漏れ出ていたように思えてならない。
「インテルから一方的に別れを告げられたとき、私は何も反論せずそれに従った。しかし、物事には見方というものがある。インテルは、ある監督(コンテ)には総年俸2億4000万ユーロの巨大戦力を用意したのに、もう1人(自分)には総年俸1億ユーロのチームしか与えなかった。2人を比較することは不可能だ。インテルでの経験から私は多くのものを得た。サン・シーロでどれだけブーイングされても、インテリスタたちへ感謝する気持ちもある。だが、私は過去を過去と割り切る気にはなれないのだ」
サッリはスクデットを獲得も1年でお払い箱に
スパレッティ同様、やはり今季からセリエAに復帰したラツィオ監督サッリに至っては、はっきりと古巣ユーベへの遺恨を隠さない。
ナポリ時代に高密度高連携の攻撃サッカーでユーベと熾烈なスクデット争いをした彼は、チェルシーでの1年を経て、2019年夏にスタイル革新を欲した“老貴婦人”へ3年契約で招かれた。