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総額662億円の投資も活かせずマンU監督を解任に……無冠に終わったスールシャールの迷走と失望の3年間 

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粕谷秀樹

粕谷秀樹Hideki Kasuya

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posted2021/11/25 17:00

総額662億円の投資も活かせずマンU監督を解任に……無冠に終わったスールシャールの迷走と失望の3年間<Number Web> photograph by Getty Images

ワトフォードに完敗を喫したマンチェスター・ユナイテッド。およそ3年に及んだスールシャール体制は終焉を迎えた

 また、闘わずに走りもしないアントニー・マルシャル、信じがたいイージーミスを繰り返すマグワイアに多くのチャンスを与え続ける一方、エリック・バイリーやフアン・マヌエル・マタ、ドニー・ファンデベークを冷遇した。控え選手、彼らのエージェントが不満を漏らすのは当然だ。マネジメントがなっていない。

 にもかかわらず、上層部は危機感を抱いていなかった。

サンチョを左に配置し、持ち味を消す

 シティのグアルディオラが偽サイドバックやゼロトップなどの革新的アイデアを披露し、フランク・ランパードからチェルシーを引き継いだトーマス・トゥヘルが2ライン間、幅、裏といったすべての危険エリアを流動的なディフェンスでカバーしつつ就任4カ月でCLを獲得したにもかかわらず、なにもできない(しない)スールシャールを放置していた。

 就任から2年以上が過ぎても最適解を見出せない男に、なぜ時間を与えたのだろうか。今シーズン開幕前、OBのガリー・ネビルはこう言った。

「ジェイドン・サンチョ、ラファエル・バラン、クリスティアーノ・ロナウドの加入で、ユナイテッドはようやく優勝を狙えるだけの戦力が整った。スールシャールにあと2、3年与えていいだろう」

 だが、監督としてとっくの昔に限界を迎えたスールシャールに、C・ロナウドやバラン、サンチョを与えたところで宝の持ち腐れだ。案の定、右サイドを得意としているサンチョを左に配置し、彼の持ち味を消してしまった。

 これほどの失態を演じ続けたのだ。ワトフォード戦終了後の退任はむしろ遅いくらいであり、現場の混乱に鈍感な上層部は猛省しなければならない。

コーチのキャリックが暫定監督に

 フットボールとプレミアリーグを正確に観察してさえいれば、スールシャールは少なくともシーズン開幕前に解雇されてしかるべきだった。在任2年11カ月で無冠。決勝進出は昨シーズンのヨーロッパリーグだけ。

 在任中の成績は91勝37分40敗。勝率54%はデイビッド・モイーズの53%、ルイス・ファンハールの52%を上回ったが、モウリーニョには4%も及ばなかった。

 ビッグ6との直接対決は14勝10分12敗。総計4億4100万ポンド(約662億円)もの巨額を投じ、B・フェルナンデスやバラン、サンチョ、ファンデベークを獲得したものの、ひとつもタイトルを得ることができなかった。

 スールシャールの手腕が、グアルディオラ、クロップ、トゥヘルに遠く及ばす、この先ユナイテッドの監督を続けても無意味であることは、数々のデータも顕著に示している。

 現地時間11月22日、ユナイテッドは暫定監督にコーチのマイケル・キャリックを指名。新監督の招聘に動きはじめたが、フットボールの内容よりビジネスを優先してきた上層部は適任者を見つけられるだろうか。そして何より、キャリックは救世主となりうるのか。

 ユナイテッドの迷走が、いつ果てるともなく続いている。

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