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野球クロスロードBACK NUMBER
ソフトバンク松田宣浩(38歳)が語る“王者失墜”の原因「そこは結構、大きいところでしょ」「山本由伸クラスは技術だけじゃ打てんすよ」
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byIchisei Hiramatsu
posted2021/11/24 11:02
今季、プロ通算300本塁打を達成したソフトバンク松田宣浩。38歳の“熱男”は、昨年までの4年連続日本一から一転、4位に低迷したチームをどう見るのか――
この7年間、一度も二軍に落とされることなく一軍で戦い続けてきたこと。それを支えたのが肉体だ。松田はこの期間、戦列を離れるような怪我をしていない。野球選手は「下半身から衰えてくる」と言われるが、38歳となった今も「それはないっす」と、言いよどむことなく答えられる。
工藤前監督は「すごくやりやすかった」
15年から21年といえば、工藤公康が監督だった時期と重なるが、それと松田がいまだ健在なのは無関係ではない。
「僕は工藤さんに本当に感謝してるんです。監督と選手という関係以上に、アスリートとしてすごい勉強させてもらったんで」
工藤が現役時代に通算224勝できた背景に、ストイックなまでのコンディショニングがあった。運動力学や解剖学などから導き出されたトレーニング、食事やサプリメントの摂取などすべてに妥協することなく体を仕上げてきた。ソフトバンクの監督となってからは、その意義を野球の戦術や技術指導以上に啓蒙してきたという。松田はそんな指揮官の影響を受けたひとりでもあった。
「体を鍛えなくなったら成長は止まるよ。ちゃんと鍛えるためには、常に体を動かしておかないとダメだからね。それは何歳になっても続けていかないとダメだよ」
松田は工藤から、こんな講釈を何度も受けてきた。全体練習前のウエートトレーニングなど、20代から課している練習は今日まで怠ったことはなかったが、工藤の教えにより、その自覚は一層増したのだと頷く。
「工藤さんは『プレーの前に体を鍛えよう、野球を勉強しよう』ってところから指導する監督だったんで、すごくやりやすかった。だって、野球をやる前に体を鍛えなければ怪我をしてプレーできなくなるし、勉強だったり、ちゃんと野球のことを考えておかないと技術が身に付かないし、結果も出せないからね」
山本由伸クラスは「技術だけじゃ打てんすよ」
体は動く。準備だって怠ることはない。試合になれば、打席で気概も見せていた。
松田は、打撃で最も重要なのは「根性」だと想いを込める。例えば今季、最多勝をはじめタイトルを総なめにしたオリックスの山本由伸に対し、ヒット5本、二塁打を1本放つなど相性がよかったが、それは必然でもあった。