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シリーズ初戦で勝ちパターンが崩れた衝撃…オリックスの逆転を招いた“ゲームチェンジャー”と“たった1つのミス”とは
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNaoya Sanuki
posted2021/11/21 12:10
守護神マクガフがピンチを招き、マウンドに集まるヤクルト内野陣。初戦から、勝ちパターンが崩れてしまった
初球の153kmのストレート。快音とともに打球はセンターを守るヤクルト・塩見泰隆外野手の頭上を超えていった。打球が抜けるのを見て、一塁側のオリックスベンチはあっという間に空っぽとなっていた。
「本当にジョーンズが繋いだのがすごいなあと。あんなに空振りしてからしっかり見逃してというか……あのフォアボールはかなり大きいと思いますね」
こう振り返ったのは試合後の中嶋監督だった。
「そういうこともある」と高津監督は語った
一方の敗れたヤクルトは先発の奥川がオリックスのエース・山本由伸投手に投げ勝ち、しかも主砲・村上宗隆内野手の決勝2ランで勝ち越すという理想的な展開で9回を迎えながら、土壇場で大事な初戦の白星を掌から逃した。
その痛手は1つの敗戦以上に大きなものとなってしまった。
「そういうこともある」
こう語ったのは試合後の高津臣吾監督だ。
9回のマクガフの乱調を聞かれたときだった。
「難しいイニングを任せているので、全力でいった結果だと思います」
信頼して送り出すクローザーも決して絶対ではない。自らが長く抑え投手としてマウンドに上がり続けてきた高津監督だからこそ、その難しさを知ってもいる。
ただ今年のヤクルトが最下位から優勝というドラマを作り上げた背景には、このマクガフを軸にした勝ちパターンがあったからなのも揺るぎのない事実なのである。
勝ちパターンが初戦にして崩れた衝撃
だからこそその勝ちパターンが初戦にして崩れた衝撃は、この後に続く日本シリーズ全体に大きく影響しかねないのも現実である。