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「もうダメです」ロッテ小島和哉を救った“美馬さん”の優しい言葉とは?《3年目の覚醒》にあった葛藤と涙
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byChiba Lotte Marines
posted2021/11/19 11:02
チーム唯一となる10勝を挙げるなど、大きな飛躍を遂げた小島和哉(25歳)。来季はエースとしての活躍が期待される
「投球的なものはさほどは変わっていないと思う。メンタルの部分が大きかった」と本人が振り返るように前向きな気持ちを取り戻した若者は、それまで憂鬱に感じていた登板日に向けて前のめりで取り組んだ。
自身の投球データを洗い直した。チャートを見直し、いい時と悪い時の投球パターン、傾向などを分析した。他の投手が先発をしている時のピッチングにも注目をした。
前日の9月10日のイーグルス戦(ZOZOマリンスタジアム)では佐々木朗希が先発し、田中将大投手と投げ合った。勝ち投手にこそならなかったが8回を投げて被安打2、無失点。なによりもほとんどカウントを悪くすることなく、99球、無四球に抑えたことに感嘆した。
「四球はやっぱりもったいないなあと思いました。みんな、どんどんストライクゾーンに強いボールを投げ込んでいた。ストレートで押し込むような投球を見て、かわすような逃げの投球ではなくてゾーンの中で勝負していこうと思いました」
5回持たずに降板した先の2試合はいずれもフルカウントまで持ち込まれるシチュエーションが多く、8月25日が102球で、9月3日が100球。浅い回で降板したにも関わらず球数を要してしまったピッチングスタイルを反省した。
「美馬さんの言葉がなかったら」
そして迎えた9月11日のイーグルス戦。9回を投げて被安打4、1失点。惜しくも8回に島内宏明外野手にソロ本塁打を打たれ、完封勝利こそ逃したが自信を取り戻し、自分の投球スタイルを確立したゲームとなった。
「美馬さんの言葉がなかったら、どっぷりマイナスな考え方を続けて、その後はなかったかもと思います」と小島本人も振り返るように、そこからは驚くほど結果がついてきた。
そこから4連勝。10月3日のイーグルス戦(楽天生命パーク)では9回被安打3、無失点で今季2度目の完封勝利でついに初の二桁勝利に到達した。ストライクゾーン内で強気に勝負した結果、100球ジャストで強力打線を封じた。