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ロックアウト不可避か…MLBの労使協定失効で泥沼化する交渉の焦点とは<1994年は7カ月半ストライキに> 

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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posted2021/11/18 11:01

ロックアウト不可避か…MLBの労使協定失効で泥沼化する交渉の焦点とは<1994年は7カ月半ストライキに><Number Web> photograph by Getty Images

今季の大谷の活躍に対しコミッショナー特別表彰を贈ったマンフレッドコミッショナー。元々は弁護士としてMLB機構で働いていた

 選手会がオーナー側に不信感を持つ裏には、メジャー全体で好景気が継続している事情もある。コロナ禍の昨季は、無観客試合のため、各球団とも大幅な減収となり、緊縮財政を強いられたものの、過去数年間のスパンではテレビの放映権料などが上昇し、メジャー全体の収益は大幅にアップ。各球団の資産価値も着実に上がり続けてきた。しかも、オーナー陣は公式戦以上に高収益が見込まれるポストシーズンの試合数増加を強く主張してきた。それでも、なお総年俸を引き下げ、チーム強化のために積極的に投資しようとしない経営姿勢に、公平な利益の分配を求める選手会側が反発するという図式が出来上がった。

大物代理人の球団批判

 全30球団の収益や経営事情を熟知している大物代理人のスコット・ボラス氏は、ゼネラルマネージャー(GM)会議の会場で厳しい口調で言った。

「2022年に勝とうとしているのは17球団だ」

 つまり、他の13球団は優勝を狙うための努力をしていない、と断言したことになる。

 米球界関係者の間では、ロックアウトは避けられない、との声も数多く聞かれる。となると、交渉が長期化する可能性もある。1994年終盤から7カ月半に及んだストライキのようなことはないと言われているものの、感情的な要素も含め、両者の溝はかなり深いだけに、決して楽観視できそうにない。

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