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イチロー「大輔は唯一かもしれないね。僕にとっては」 引退・松坂大輔を《同志》だと語った理由…第2回WBCで体はボロボロになっていた
posted2021/11/14 11:02
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
Hideki Sugiyama
松坂大輔引退。
米国にもその知らせが届き、在籍したボストンやニューヨークの担当記者がそれぞれに敬意を払い、想いを寄せた。大リーグ公式サイトのレッドソックス担当イアン・ブラウン記者は感慨を込めて言った。
「2007年のワールドシリーズ制覇にダイスケは間違いなく大きく貢献した。シーズンで15勝、ワールドシリーズ第3戦では勝利投手になった上にレフト前へタイムリーヒットも打った。投げて、打って。彼の笑顔は良かった。みんな彼が大好きだったよ」
ア・リーグの投手がワールドシリーズで適時打を放つ。歴史を塗り替える男・大谷翔平でもまだなし得ていないことを松坂は14年前に既に記録していた。米国で最も輝いていたときと言える。
松坂をやはり「モンスター」だと言える理由
長い間ケガに苦しんだ。米国でもケガとの戦いだった。ファンの方々は2011年に受けたトミー・ジョン手術前後からの苦しみを想像する方が多いかも知れないが、彼の右肩、右肘は2007年にレッドソックス入りする前からマイナー・トラブルを抱えていた。松坂の体をよく知る関係者はこんな言葉で彼の体を説明してくれたことがある。
「ライオンズ・デビューの1999年を10とすれば、レッドソックスに行った当時はもう7くらい。ソフトバンクに戻ってきた2015年はもう5くらいでしかなかった。それでいてよくここまでやりましたよ。やっぱり怪物ですね」
松坂は大リーグでルーキーイヤーの2007年に15勝、2008年に18勝を挙げた。シーズン18勝が日本人投手最多ならば、ルーキーイヤーからの2年で33勝は、野茂英雄の29勝(13勝、16勝)、ダルビッシュ有の29勝(16勝、13勝)、前田健太の29勝(16勝、13勝)を上回りこれも最多である。
体が万全でなくとも、出来る中で最善を尽くし、結果を残す。これが一流の証であるが、体が「7」の状態でメジャーでこの成績を導き出した松坂大輔はやはり『モンスター』だ。せめて「7」の状態がもう少し長く続いていれば……というのは誰もが感じることだろう。