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ロックアウト不可避か…MLBの労使協定失効で泥沼化する交渉の焦点とは<1994年は7カ月半ストライキに>
posted2021/11/18 11:01
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
Getty Images
2016年に締結された大リーグのオーナー陣と選手会の労使協定(CBA)が、米国東部時間の12月1日午後11時59分に失効する。これまで両者は、何度となく、改正案などについて話し合いを続けてきたが、現時点では合意する気配は見えていない。このまま、平行線をたどり、期限の時点で決裂すれば、12月2日にはオーナー側がメジャー全球団の機能をロックアウト(閉鎖)する可能性が現実味を帯びてきた。
もし、ロックアウトとなれば、12月上旬に予定されているウインターミーティングはマイナー関係者らに限定される見込みで、FA(フリーエージェント)やポスティング、メジャー40人枠内の選手のトレードなどすべての交渉が中断されるため、ポスティング制度でのメジャー挑戦を表明した鈴木誠也ら日本人選手を含め、多くの選手に影響を及ぼすことになる。
絡み合う争点に見いだせない妥結点
ロブ・マンフレッドコミッショナーを含むオーナー側と選手会の間の軋轢は、今に始まったことではない。両者間の不信感は、コロナ禍で延期となった昨季、公式戦開幕へ向けた折衝の際にも顕著に表れていた。対面交渉が困難だったこともあり、互いの腹を探り合うかのように、情報を特定のメディアにリークし合い、試合数や金銭面の条件を巡って泥沼の駆け引きを繰り返した。コロナ対策の特殊事情があったとはいえ、開幕は7月まで大幅にずれ込み、ポストシーズンも変則フォーマットで行われた。
今回の交渉では、現行でぜいたく税の対象となるチームの総年俸2億1000万ドル(約231億円)の上限を1億8000万ドル(約198億円)まで引き下げようとするオーナー側に対し、事実上の「サラリーキャップ(総年俸の上限)」の導入とみなす選手会側は徹底抗戦の構えを見せている。このほか、年俸調停の廃止、FA取得年数の改正、ナ・リーグにDHを導入するユニバーサルDHなど複数の争点が絡み合っており、簡単には妥結しそうにない。