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【最終予選5試合で4得点】安定感と単調さが同居した日本代表… 森保監督は「有効な4枚のカード」を使いこなせるのか
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJFA
posted2021/11/12 17:03
決して会心の勝利とは言えないものの、「アウェイでの勝ち点3」という最低限の結果に安堵の表情を見せる日本代表
控え選手に鎌田大地、三笘薫、堂安律が含まれていた一方で、旗手怜央、前田大然、上田綺世がベンチ外だった。東京五輪に出場した旗手ら3人は、最終予選に出場していない。三笘も同様だ。負けられない試合で彼らを使うことには、しかも9月と10月は苦杯をなめた連戦の1試合目で彼らを使うのは、リスクがあったのかもしれない。
しかし、先発も途中出場の選手もオーストラリア戦とほぼ同じだったことで、安定感が担保されたのと同時に、変化の乏しい攻撃になってしまったことは否めない。テンポのいいパスワークでベトナムのプレスを剥がしたり、ワンタッチパスの連続から大迫へ縦パスが入ったりと、森保監督が求める連携や連動が見られた場面はあった。ただ、たたみかけるような時間帯は作り出せなかった。後半の決定機は、柴崎のシュートが相手GKを脅かしたふたつのシーンだけである。
その柴崎の登場まではミドルシュートがほとんどなかったことも、攻撃が変化を欠いた一因である。中長距離のシュートを見せないので相手守備陣を引っ張り出せず、ペナルティエリア付近でファウルを誘うこともできない。最終予選が5試合を終わっても、直接FKからゴールを狙う場面は皆無と言っていいのだ。
CKからの得点もない。ベトナム対日本戦の同日に行なわれた中国対オマーン戦では、両チームがCKから得点をあげた。試合の流れと関係のないリスタートは、僅差の攻防やアウェイゲームで価値を持つ。ベトナム戦は準備期間が十分でなかったのだろうが、そうはいってもチーム結成から3年以上の時間を過ごしてきたのだ。オマーン戦ではセットプレーを得点に結びつけたい。
複数得点差での勝利が求められるオマーン戦
中国対オマーン戦は1対1のドローに終わり、3勝2敗で勝ち点9の日本はオマーンを抜いて3位に浮上した。勝ち点10のオーストラリアにも1差に迫っている。
とはいえ、ベトナム戦の勝利は予定どおりである。すでに2敗していることでこの日の勝利が眩しく映るかもしれないが、当然のノルマを達成したに過ぎない。得失点差のプラスがわずか「1」にとどまったことを考えると、次のオマーン戦がさらに大切になってきたとも言える。