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【最終予選5試合で4得点】安定感と単調さが同居した日本代表… 森保監督は「有効な4枚のカード」を使いこなせるのか
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJFA
posted2021/11/12 17:03
決して会心の勝利とは言えないものの、「アウェイでの勝ち点3」という最低限の結果に安堵の表情を見せる日本代表
この得点が認められ、前半を2対0で折り返していれば、後半の展開は違うものになっていたはずである。前がかりになった相手の背後を取って加点し、3対0、4対0といったスコアで勝利するシナリオも描けた。スタメンの選手を早めに交代させることもできただろう。
最少得点差のまま推移していくなかで、森保監督は63分と75分に2枚ずつ交代のカードを切った。代わって出場した4選手は、オーストラリア戦にも途中出場している。
63分の長友佑都から中山雄太、南野拓実から浅野拓磨へのスイッチは、左サイドの攻撃を整理した。中山は守備でスキを見せず、浅野のスピードを生かす縦パスを供給した。浅野の背後への抜け出しは、相手守備陣にストレスを与えていた。
75分には田中碧を下げて柴崎岳を起用し、大迫に代わって古橋亨梧がCFに入った。伊東、古橋、浅野の3トップは、疲労の滲む相手守備陣を悩ませたはずである。フル出場の伊東はいつもどおりにプレスバックに献身的で、守備面での貢献度も高かった。マン・オブ・ザ・マッチに選ばれたのは当然だった。
88分には守田英正が退き、原口元気が送り出された。直前に守田が警告を受けていたが、森保監督は「イエローカードをもらっていたからではなく、最後に試合を勝ち切るために元気の守備力、そしていい守備からいい攻撃につないでいける推進力を生かしたい」との意図を持っていた。
安定感と変化の乏しさはトレードオフ?
1対0での逃げ切りに、選手交代は意味を成していた。気になることがあるとすれば、長友から中山の交代である。 長友を下げて中山を投入するのは、10月のサウジアラビア戦とオーストラリア戦に続いて3試合連続である。長友の途中交代として見ると、9月の中国戦も終盤に佐々木翔との入れ替えがあった。
交代枠のひとつをほぼ毎回サイドバックに充てるのは、率直にもったいない印象がある。リードした試合を逃げ切るための交代ならともかく、この日は最初の交代機会で長友を下げた。同点に追いつかれて終盤に追いかけるようなことになっていたら、交代枠のひとつをサイドバックに使ったことが悔やまれたかもしれない。