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西田優大&角野亮伍の新・Wエースが躍動《常勝三河》の復権を予感させる、シーホース三河の「崩れない強さ」
text by
山田智子Tomoko Yamada
photograph byB.LEAGUE
posted2021/11/05 17:00
「得点王が目標」とエースの自覚が芽生えた角野(左)と、新人王の呼び声高いルーキー西田(右)
新加入選手が躍動すれば、既存戦力も黙ってはいない。「(西田、角野の活躍は)刺激になっている。絶対に負けたくないという気持ちがある」と話すPG長野誠史は、10月22日の新潟アルビレックスBB戦でキャリアハイを更新。10月27日の茨城ロボッツ戦では残り1分半で11点を挙げるなど絶好調だ。加入2年目のシェーファーアヴィ幸樹も「自分が中心で引っ張っていく」と闘志をあらわにする。
開幕から1カ月を終えて7勝2敗。若きエース候補の闘争心がチーム全体に波及し、周囲の予想を覆す三河の躍進を生み出している。
若手がのびのびプレーできる三河の伝統
こうした新加入選手や若手が活躍できる背景には、「若手は失敗なんていくらでもしていい。それをカバーするための柏木(真介)選手や根來(新之助)選手などのベテラン勢がいるんだから」と送り出す鈴木HCの育成方針がある。
新人賞を獲得した岡田侑大、熊谷航、そして昨季急成長を遂げたシェーファー。これまでも、鈴木HCは若い選手をスターターとして抜擢し、実戦の中で育ててきた。今季、西田、角野を開幕からスターターとして使い続けているのも、これからの三河を担うエースとして育てていきたいと考えてのことだろう。
「柏木さんも(Bリーグ以前の)アイシン時代からずっとそういう形でやってきたと言っていました。若いやつが入ってきて、ベテランが後ろからサポートすると。貴美一HCが我慢して使ってくれているのは感じていますし、点が取れなくて『ダメだ、打てないわ』と思った時も『もう一回行ってこい』『通用するから、思い切ってやってこい』と言ってくれるので、本当に感謝しています」(角野)
「去年は『ミスしたらどうしよう』『もっとシュートを決めなきゃ』と自分を追い込んでいたんです。今年はHCが良くも悪くものびのびとプレーさせてくれるし、周りもそういう雰囲気を作ってくれるので、自分らしさというか、積極的にアタックしてシュートを狙うことができています」(西田)
インタビュー中、帰り際のダバンテ・ガードナーが「ルーキーオブザイヤー」とつぶやきながら西田の横を通り過ぎた。
「今から結構言われるんですよ。外国籍選手も含めて、練習中からずっと言ってくるので。もちろん新人賞は目標ではあるし、今の活躍を続けて、さらに3Pシュートを決めていけばどんどん近づいてくると思います。でも狙いにいくというよりは、自分の活躍にもう少し磨きをかけるというか、そこを意識してやっていきたいです」