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ダルビッシュ所属のパドレスが異例の監督引き抜き… “松井秀喜とNYで寿司を食べた男”ボブ・メルビンとは何者か
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph byGetty Images
posted2021/11/05 11:00
今季はアスレチックスをア・リーグ西地区3位(勝率.531)に導いたメルビン監督。11月1日に就任会見に臨んだ
マリナーズ監督時代の2004年、262本の年間最多安打記録を達成したイチローとは親交が深く、今でもグラウンドで顔を合わせるたび、長い間話し込むことは珍しくない。2011年オフ、松井秀喜がアスレチックスからFA(フリーエージェント)となった際には、自ら慰留交渉に乗り出し、ニューヨークのすし店やイタリアンレストランで食事をするなど、日本人選手の良き理解者としても知られる。
ディフェンス重視の野球で捲土重来なるか
近年のパドレスはマニー・マチャド、フェルナンド・タティスJr.らの強打者が看板とはいえ、捕手出身のメルビン監督の基本スタイルは、投手力を含めたディフェンス重視。選手とのコミュニケーションを大切にしており、今季の開幕投手を務めたダルビッシュ有とも、早い時期に信頼関係を築くに違いない。元々、ブレーク・スネル、ジョー・マスグローブら先発陣全体のポテンシャルは高いだけに、本来の実力を継続的に発揮できれば、今季のような大失速は避けられる可能性は高い。
今季107勝を挙げたジャイアンツ、同106勝のドジャースなどの強敵が揃うナ・リーグ西地区の戦いは厳しいものの、パドレスの戦力は見劣りするどころか、互角以上と言っていい。
「すばらしい気分だ。球界でもこれ以上の目的地を知らない。私は幸運な男だ」
大胆な「引き抜き」に踏み切った末、メルビン新監督に舵取りを託したパドレスが、初の世界一へ向けて、新たな一歩を踏み出した。