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[栄光と挫折のメジャー戦記]レッドソックス時代「頂点でも達成感は微々たるものだった」
posted2021/11/05 07:03
'07年ア・リーグチャンピオンシップシリーズ最終戦に先発し勝利。ワールドシリーズ進出を手繰り寄せた
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四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
Getty Images
山の頂から目にする光景は、格別だった。2007年10月28日、遥か西に冠雪のロッキー山脈がそびえるコロラド州デンバーのクアーズフィールド。ワールドシリーズでロッキーズを無傷の4連勝で破り、メジャー1年目で世界一をつかんだレッドソックス松坂大輔は、高級シャンパンの泡にまみれながら、感慨深げに激動のシーズンを振り返った。前日の第3戦では、自ら2点適時打を放ち、ワールドシリーズでは日本人初の勝利投手となった。公式戦でも先発ローテーションの一角として15勝、201奪三振をマークし、12年ぶりの地区優勝に貢献した。
「大変な1年でした。苦しいと思ったことはありましたが、最後まで長く野球ができて良かったです。最後に勝者になれて、もう言うことはありません」
横浜高時代の甲子園春夏連覇、西武での日本一、WBCの初代王者に続き、メジャーの大舞台でも、最後に勝者になった。
だからといって、天賦の才だけで、頂点に立ったわけではない。たとえ逆風にさらされても、松坂は常に、その先にある、勝者のイメージを持ち続け、野球人生を歩んできた。横浜高時代の恩師、渡辺元智監督の教えでもある「目標がその日その日を支配する」の言葉を心に刻み、周囲には窺い知れない困難にも立ち向かってきた。
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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