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「大谷翔平と岸田首相、どちらの取材が難しい?」「報道番組に“スポーツ枠”は必要?」“報ステ”キャスター・大越健介に聞いた
text by
田中仰Aogu Tanaka
photograph byWataru Sato
posted2021/10/31 11:04
『報道ステーション』 キャスター・大越健介さんインタビュー後編。取材して感じた大谷翔平と稀勢の里の共通点とは?
でも私は、現役時代はある種そっけなく見えるようなアスリートこそ、引退したら言葉がほとばしり出てくると思っていて。実際、「サンデースポーツ」で引退後の稀勢の里にインタビューをした際、深く、含蓄のあるコメントを聞くことができました。
――なるほど。そう考えると、大谷選手も将来のほうがより深くその“スゴさ”の核心に迫れるのかもしれませんね。それにしても、アスリートからキャスターやコメンテーターに転身された方々は、つくづくコメントが上手だと感じます。大越さんも「報道ステーション」で、内田篤人さんや白井健三さんと一緒にお仕事されていますが、どういった印象をお持ちですか。
大越 世代的な特徴かもしれませんが、20~30代の人たちは根底に「優しさ」がある気がします。私が若かった頃は高度成長時代で、ある種「肉食的」といいますか、言葉は悪いですが、優しさよりも勝手が目立つ時代でした。少なくともそういう人が多かったように感じます。
一方、今の若い人たちは、お互いに時代を共有しよう、という優しさがありますよね。だからこそ、その競技に詳しくない人でも理解できるような伝え方ができるんじゃないかと。
スポーツ報道は必要なのか?
――少し話が変わりますが、ほとんどの報道番組にはスポーツの枠が設けられていますよね。スポーツに興味のない人からすると、コロナ関連など大きなニュースがある際も、スポーツ関連の情報が流れることに違和感を抱くこともあるようです。あらためてスポーツを報道する意義について、どうお考えでしょうか。
大越 実は私が「サンデースポーツ」(18年4月~20年9月まで担当)のキャスターを務めることを決めた理由が、まさにスポーツを報道する意義を探そうという意思からでした。当時、東京五輪の開催が決まっていたこともあって、ちょっと力んだところがあったんですね。でも、番組を続けていくうちに、スポーツの価値は理屈じゃないということに気づきました。