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FW宮市亮28歳に聞く、アーセナル冨安健洋をどう見ていますか?「面識はないですけど…彼はすごい」「当時ロシツキーは本当に親切でした」
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph byGetty Images
posted2021/10/30 11:05
11年前、18歳でアーセナルと契約した宮市亮(現・横浜F・マリノス)。今季アーセナルに加入した冨安健洋をどう見ているのだろうか?
「最初にアーセナルに行ったときは3日くらい練習しただけでした。それでフェイエノールトに行って、半年後の夏にアーセナルに戻ったときは、勢いもあったし『これなら、行ける』って感覚だったんです(笑)。ただ、シーズンが始まると徐々にレベルの差を痛感させられました。本来自分はスピードが武器なのに、それを忘れてどうやったらアーセナルのパスサッカーに合わせられるかということばかりを考えてしまい、バランスを崩していったというか。『同期のチェンバレンがプレーしているのに、なんでオレは……』『オレもエジルみたいなパスが出せたら』とか……。1対1の状況でもパスばかりを選択するなど、完全に自分の良さを見失っていました。苦しい時期だったのは確かです。それでも、いま思えばそういう経験を経て自分の良さにもう一度気づくことができましたし、僕にとってはいい機会だったのかもしれません」
忘れられない「アーセナルでリーグデビューした日」
アーセナル時代に唯一出場したプレミアリーグのホームでのストーク戦(2013年9月22日)のことは、いまでもはっきりと覚えている。当初はメンバー外だったものの、ウォルコットの体調不良を受けて急遽チームに合流すると、4日前に初出場していたチャンピオンズリーグのマルセイユ戦に続き、ガナーズの選手としてピッチに立った。
73分からの途中出場。宮市はニャブリ(現バイエルン、ドイツ代表)に代わって右MFに入って、チームは3-1と勝利した。
「当日の朝にスタッフから電話で『ベンチ入りメンバーに入ったからスタジアムに来てほしい』と言われたんです。ただ、試合の当日はキックオフの数時間前から会場周辺は交通規制が敷かれ、(チームバス以外は)選手だろうが監督だろうが一般の車では近づけません。僕がスタジアム付近に着いたときは、すでに道路が封鎖されていて中に入れてもらえませんでした。それで仕方なくそこら辺に車を停めて、チームスーツを着たまま猛ダッシュで向かいました。その時点では試合に出るかどうかはわからなかったのですが、途中で呼ばれて出ることに……。試合後は車がどうなっているかが気になっていましたが、幸運にも駐禁は切られていませんでした(笑)」
「ロシツキーは本当に親切にしてくれた」
当時、ベンゲル監督とはどんな会話があったのか。何か印象的な言葉などは残っているのだろうか。