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ロナウドはオモチャに歓喜、モドリッチはすすり泣き、シェフチェンコは「勝った」と叫んだ…バロンドーラー“初めての”受賞秘話 

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posted2021/10/21 06:00

ロナウドはオモチャに歓喜、モドリッチはすすり泣き、シェフチェンコは「勝った」と叫んだ…バロンドーラー“初めての”受賞秘話<Number Web> photograph by L’Équipe

シェフチェンコ、ロナウド、メッシ…バロンドールは数々のスター選手が欲してやまない栄誉ある賞だ

 バロンドールは成熟した選手、多くのタイトルを獲得した選手に付与されるのが創設当初の暗黙の了解だったが、やがて若い選手、投票の時期に輝きを見せた選手にも与えられるようになった。その点で、22歳の若さ(当時の受賞最年少記録)で受賞したジョージ・ベスト(1968年。マンチェスター・ユナイテッド)に告知する瞬間は印象深かった。

「いや、それはありえない。僕はベルファストの街頭で育った子供に過ぎないから」と、心から驚きながら彼は答えた。

 アンドリー・シェフチェンコ(2004年。ACミラン)の場合も少し特別だった。受賞の知らせを伝えに来たロベルト・ノタリアニが突如猜疑心に囚われ、彼の自宅のリビングルームで得票の再計算を始めたのだった。

「君はアホか。僕が勝った。それでいいだろう!」

 電卓を放り投げてシェフチェンコは叫んだ。

秘密裏に行う告知とインタビュー

 ノタリアニはこれまでに3度、選手たちに受賞を伝えている。最初は2003年のパベル・ネドベド(ユベントス)だった。当時の思い出を彼が語る。

「それまでネドベドには1度も会ったことがなかった。ドニ・ショウミエが僕をトリノに急遽派遣し、すべてを秘密に行うように指示した。その日は雨で、ネドベドはピエモンテ山麓にあるユーベの練習場シスポルトでトレーニングの最中だった。僕は駐車場で待つことに決めた。そこなら誰にも見つからないし、彼が必ず通るからだ。練習を終えて帰ろうとするブッフォンが見えた。その後ろを金髪の頭が通り過ぎた。大声で叫ぶとネドベドが振り返った。僕は名刺を取り出して彼に渡しながら、自分はパリから来たこと、大事な話があることを伝えた。

『10m先に車を止めているから来てくれ』と彼は答えた。彼の車で駐車場を離れ、僕はこう言った。

『パベル、君はバロンドールの戦いに勝ったんじゃない。圧勝だった』と。

 もともと白いネドベドの顔が、僕の言葉を聞いて蒼白になった。翌日、僕らは受賞インタビューをおこない、すべてが誌面で発表されるまで彼は黙っていてくれた」

【次ページ】 1万4000人からの祝福

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