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プロ野球スカウトに聞く「今年のドラフト、なぜ“1位指名公言”が西武とホークス2球団だけだった?」ドラフトウラ話《事前指名編》
posted2021/10/19 17:10
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Sankei Shimbun
“流しのブルペンキャッチャー”として全国各地、数多くのアマチュア選手を取材してきた筆者。プロ野球スカウトの証言からドラフト会議の舞台裏をレポートする。(前回《楽天編》へ)
ドラフト会議の3日前(10月8日)に、まず西武ライオンズが西日本工業大・隅田知一郎投手(177cm76kg・左投左打・波佐見高)の1位指名を公表。
その翌日(9日)、ソフトバンクが明桜高・風間球打投手(183cm84kg・右投左打)の1位指名を公表して、今度はどこが……と思っていたら、結局それ以上、1位公表をする球団もなく、「10・11」ドラフトの開始時間になってしまった。
1位公表といえば、例年「広島」である。一昨年は明治大・森下暢仁投手の1位指名を事前公表。すでに説明不要なほどの活躍で、投手陣の根幹をなしている。
また、だいぶ前の話になるが、1994年には日本体育大・山内泰幸投手の1位指名を、その年の3月、山内投手がまだ「3年生」のうちに発表した。いくら、地元・尾道商業高出身の快腕とはいえ、ドラフトまでの7カ月ほどの間に大きな故障でも起こしたら、一体どうするのか……こちらのほうがひどく心配になったほどだ。
その広島すら、「公表」を避けた今年のドラフト。どんな理由があったのか。何が例年と違うドラフトだったのか。
「西武はどう見たって“左腕”でしたからね」
「理由はいくつかあったと思いますよ」
あるスカウトが、こんな事情を明かしてくれた。