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“育成のソフトバンク”がまたもお宝を発見? 投手歴はわずか2年半の瀧本将生(18歳)はなぜ指名されたのか《育成11位》
posted2021/10/13 17:02
text by
高木遊Yu Takagi
photograph by
Yu Takagi
縦に落ちるスライダーで面白いように空振りが取れる。未完成な部分がまだまだ多いが、その未完成さこそ、最大の魅力かもしれない。
福岡ソフトバンクホークスから「育成ドラフト11位」で指名されたのが、市立松戸高校の右腕・瀧本将生だ。最高成績は千葉大会3回戦と実績は乏しく、県内でも無名と言っていいほどの存在だ。しかし、その将来性を見込んでどこよりも早く熱心に注目していたソフトバンクによって日本最高峰の舞台への扉が開かれた。
「縦のスライダーのキレが良いなと思いました。観た瞬間に活躍できる可能性があるなと感じました」
瀧本を担当した福元淳史スカウトはその第一印象を語る。その後も何度か視察を続け、指名を終えてからは「投手経験は浅いが、ポテンシャルの高い選手。武器であるキレ味鋭い縦のスライダーは、磨けば十分プロで通用する可能性を秘めている」とコメントした。
最大の武器である縦のスライダーは野手時代に遊びで考案していたもの。カットボールとチェンジアップは動画の解析などをもとに器用に習得したが、この武器は自然と身につけていた。意識しているのは「しっかりと腕を振ってボールを握り潰すように投げる」ということだという。
投手歴はわずか2年半
特筆すべきは投手歴がわずか2年半ということだ。
ゴルフのレッスンプロをしている父とバレーボールをしていた母との間に生まれ、父が野球経験者だったことや幼なじみに誘われたこともあり、小学5年生の時に「みかどファイターズ」で野球を始めた。そこでは一塁手や外野手を務めた。
中学時代は、坂倉将吾(広島)や木澤尚文(ヤクルト)を輩出した八千代中央シニアでプレー。そこでは5番や6番を打つ外野手だった。同シニアの小島慶明事務局長は「お母さまが教員なこともあってか、真面目に取り組む選手でした」と当時の印象を語る。一方でプロ野球選手となることについては「坂倉や木澤は予感がありましたが、瀧本に関してはビックリしています」と予想外だったようだ。