オリックスは4位までピッチャーで

　昨年のドラフトでは、元謙太、来田涼斗……2位、3位で野手を指名したオリックス。今季は4位まで「投手」で押した。

　3位・山本大揮（九州国際大付高）は3年間で別人のように「投手」らしい体になった。懸命な練習を積み重ねながらの栄養摂取だったことを印象づけるユニフォーム姿のシルエット。145キロ前後の速球を引き立てるタテのスライダーの鋭い変化は、一軍突破の足がかりになるはずだ。

　昨秋からこの冬、新兵器カットボールを覚えたことで、一気に攻略困難な左腕にレベルアップしてきた4位・代木大和（明徳義塾高）。「切り札」を得た投手というのは、ここまで泰然と投げられるようになるものなのか。こちらのほうが驚いた。これなら、抜群の打撃センスの兼備など持ち出す必要もなさそうだ。

　さらに5位・久保田拓真、6位・野口智哉の「関西大コンビ」を指名。

　地元・関西六大学リーグ出身者が、村西良太（投手・近畿大）、山足達也（内野手・立命館大）……と限られるオリックス。関西のチームという色あいを強調する狙いもあって、今回は3人を指名。

「狙いを明確にしたドラフト」というオリックスの伝統も踏襲した形になった。共に、バッティングに持ち味のある捕手と遊撃手。今のオリックスなら、さらに激烈なチーム内サバイバルになりそうだ。

ヤクルト1位は“抽選覚悟”

〔ヤクルト　2021年ひとりドラフト指名選手〕

1位　隅田知一郎　22歳　投手　西日本工業大　177cm75kg　左投左打
2位　鈴木勇斗　21歳　投手　創価大　174cm85kg　左投左打
3位　ブライト健太　22歳　外野手　上武大　184cm84kg  右投右打
4位　寺嶋大希　18歳　投手　愛工大名電高　179cm76kg   右投右打
5位　深沢鳳介　17歳　投手　専大松戸高　177cm75kg  右投右打
6位　米山航平　17歳　外野手　市立尼崎高　188cm93kg　右投左打
7位　清水武蔵　18歳　捕手　国士舘高　177cm76kg  右投右打

〔ヤクルト　総評〕

　昨季最下位だったオリックスが首位争いを展開しているパ・リーグ（以下、10月4日現在）。一方のセ・リーグで、2位・阪神と競り合いながら首位を行くヤクルトも、昨季は5位広島に12ゲーム差の大差をつけられた最下位だったのだから、野球は興味深い。

　昨季のチーム防御率4.61は、ダントツのリーグワースト。今季がもしそのままの数字なら12球団ワーストだったところが、なんと今季のチーム防御率は3.44。

　プロでも、こんなに変動の激しいものなのか……いったい、どんな「劇薬」を使ったのか。

　ここまで今季8勝の「奥川恭伸」という薬を使ったことはわかっているのだが、それ以外は投手防御率8位にも誰も入っていないのだから、きっとみんなが少しずつ良くなって、チーム全体が上がったのだろう。そう考えると、いかにも「ヤクルトファミリー」らしくて、胸にスッと落ちるのだが、どうだろうか。

　とはいえ、昨季の「悪夢」はいまだ記憶に生々しく、球団関係者の多くは今季の様子を「夢」だと考えており、1位は抽選覚悟。即戦力を確信する隅田知一郎（西日本工業大）に1票投じると、あざやかに「当たり」を引いたのだから、オリックス同様、ペナントレースの勢いはドラフトでも健在だ。

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