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オリックス1位は2年連続で“剛腕”高校生、ヤクルト1位は抽選覚悟の“即戦力”左投手…ドラフト全指名予想【オリ・ヤクルト・ロッテ編】
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKYODO
posted2021/10/10 11:04
ドラフト目玉候補の小園健太投手(18歳・市立和歌山高・184cm89kg)
コロナで練習自粛の間に、隅田は自らの発案でツーシームとチェンジアップを持ち球の切り札に加えた。6月の全日本大学野球選手権では、上武大のスラッガー・ブライト健太の内角を自慢のクロスファイアー攻めにして、あわや左翼弾の大ファールを食らった。直後も内角攻めに徹し、よもやの左中間弾!
レジェンド左腕・石川雅規の賢さと、右腕エース・小川泰弘の負けじ魂を併せ持ったような投手だ。現状140キロ台前半程度のアベレージは、プロの食事とトレーニングであと5キロは高速化可能。今はほぼ自炊という食生活が一変するからだ。
左腕をもう一枚。2位がウェーバーで11番目なのに、左腕・鈴木勇斗(創価大)が指名できたのは想定外の「朗報」か。
やはり、ガッツが表に出るタイプの力投左腕。145キロ前後の速球、スライダーに、もう1つ、勝負球になる球種を覚えたい。「後ろの3人」に左腕が心もとない。仕事場はいくらでもある。
“ドラ1”からホームランの男も
先に「投手」の話をしておこう。4位・寺嶋大希(愛工大名電高)、5位・深沢鳳介(専大松戸高)……全身のバネとセンス抜群の快腕たち。腕前は2人ともすでに、甲子園でお披露目済みだ。
寺嶋大希は強い球質の145キロ前後と本人打たれたことがないというチェンジアップで、深沢鳳介はサイドハンドからホップ成分抜群の速球とカーブ、スライダーを構えたミットに70%以上きめられるコントロールで勝負だ。
あっ……と思った。指名した4投手、皆、180cm弱で整ったフォームからきちんと投げる「スワローズパターン」。終わってみると、毎年そういうタイプばかり獲っているから、ヤクルトが不思議なチームなのか、ドラフトが不思議なのか。
さて、野手。
6月の大学選手権で1位・隅田から神宮球場の左中間中段あたりにたたき込んだ3位・ブライト健太(上武大)。縁あって、同じヤクルト、同じ神宮で、チームメイトに。その気で走れば盗塁王だって望めるスピードもあり、活躍すれば、間違いなく「つば九郎」ばりの人気者になれるキャラの持ち主だ。
市立尼崎高からヤクルトといえば、ブンブン丸・池山隆寛遊撃手(現・二軍監督)。その指導のもとに「左打ちのブンブン丸」、6位・米山航平(市立尼崎高)が弟子入りだ。長打力ばかりじゃない、俊足だって師匠のスピードにも負けていない。
野球で身を立てるんだ!の志を掲げて、鹿児島から上京。プロを目指した7位・清水武蔵(国士舘高)の心意気に期待。
外野から始まって、遊撃、捕手……難しいポジションばかりこなした抜群の野球センスと強肩・強打。異常なまでの向上心も、永田昌弘監督の折り紙付きだ。