中日唯一のピッチャーは中京大中京エース

　今年は地元にも「バットマン」がいる。普通にスイングして、自然に30度ほどの長距離軌道を生んで、しかも大舞台、メモリアルな試合で本領発揮の勝負度胸。3位・田村俊介（愛工大名電高）のスイングスピード160キロ超は、すでにプロレベルだ。

　中京大中京OBの飛ばし屋、4位・鵜飼航丞（駒澤大）の飛距離も底抜け。そのバッティング練習は、G.G.佐藤（元西武）を思い出す。あとは精度アップだが、あまり小さくなってほしくない大砲候補だ。

　強肩が売りものの6位・福永奨（國學院大）に、強打が売りものの7位・福永裕基（日本新薬）。下位指名でもレギュラーじゃなくても、1年目から一軍メンバーに食い込める「特徴」を持った実力者だ。

　そして、今回のドラフトで唯一指名した「投手」が2位・畔柳亨丞（中京大中京高）だ。昨年1位の高橋宏斗に続いて、中京大中京の剛球エースを地元・ドラゴンズが獲得した。

　好調時の150キロ前後の速球のうなり、低めの伸びは先輩以上の評価も。今春のセンバツでの大奮投以来、故障がちだった畔柳だけに、1年間にわたり渾身のピッチングが続けられる体の強さを、まず養いたい。

ホークス「繰り上げ1位」のピッチャーは？

〔ソフトバンク 2021年ひとりドラフト指名選手〕

×　小園健太　18歳　投手　市立和歌山高　184cm89kg　右投右打（巨人、広島、オリックスとの抽選に敗れる）
1位　達孝太　17歳　投手　天理高　193cm85kg　右投右打
2位　松浦慶斗　18歳　投手　大阪桐蔭高　187cm92kg　左投左打
3位　前田銀治　17歳　外野手　三島南高　180cm95kg 　右投右打
4位　粟飯原龍之介　17歳　遊撃手　東京学館高　180cm82kg 　右投左打
5位　大竹風雅　22歳　投手　東北福祉大　183cm85kg 　右投右打
6位　田中怜利ハモンド　投手　帝京五高　189cm79kg　右投右打
(※ひとりドラフト予想の後、10月9日にソフトバンクは風間球打［明桜高］の1位指名を明言した)

〔ソフトバンク　総評〕

　ペナントレースを17ゲーム残した10月2日時点で、首位オリックスに7ゲーム差の「第4位」。

　いつも上のほうにいるのが当たり前みたいなソフトバンクだから、あらためて状況を知るとギョッとするが、ヨソだって、勝とうとして一生懸命やっているんだ……たまには、こういう年もあるだろう。それもまた、至極当たり前のことのようにも思う。

　だから、ドラフトだって、いつも通りの泰然自若。どこかみたいに「即戦力、即戦力！」なんてあわてない。ソフトバンク王道の大器狙いだ。

　投手を選ぶ「ものさし」は、近い将来、150キロ台が投げられるのかどうか？　次期エースの雰囲気、予感十分だった小園健太は惜しかったが、ソフトバンクは、もっと大器の達孝太（天理高）へ舵をきった。

　確かに「未完の大器」ではあるが、5年先の変身ぶりが想像できない。将来は「メジャーでサイ・ヤング賞！」なんて、この心意気がよい。長い手足をボディーコントロールしながら低目に集められるのは、ダルビッシュ有と同様のメカニズムだ。

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