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〈祝40歳〉「イブラ様」のヤンチャで男前な5大事件 テコンドーで敵も味方もKO、無礼な若手に激怒 でも日韓W杯で…
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images/Takuya Sugiyama
posted2021/10/03 06:00
ユーベ、インテル、ミランで無双だったイブラヒモビッチ様。40歳の今もなお、膝の痛みすら感じさせない豪胆さに感服するばかりだ
29歳になっていたズラタンだが、新顔らしく大人しくしているはずがない。10年11月、秋深まるミラネッロ練習場にゴングが鳴った。
練習中に激しいタックルを入れてきたDFオニエウに、テコンドーの達人イブラは黙っていられず、拳と膝蹴りで応戦。アッレグリ監督(現ユベントス)がすぐに制止しようとしたが熱くなった2人は聞く耳持たず。何しろ198cmの巨漢オニエウと195cmのイブラの喧嘩だから、チームメイト全員で飛びかかって、ようやく抑えることができた。
肋骨が折れた相手の“泣き”にムカついた
大騒ぎの顛末は、イブラの自伝によると「最後は肋骨の折れたオニエウが泣いて許しを請うてきた。でもそれを見たら余計腹が立ってきた」。
イブラは、ミラノ・ダービーでもヒートアップし、古巣インテルのDFマテラッツィ相手にどさくさ紛れで正面から右の前蹴りをお見舞いしようとしたことがある。VARのある今なら完全に一発退場ケースだ。
それでも、当時の僚友だったガットゥーゾやインザーギは、イブラにビビるどころかむしろ面白がっていたというから、黄金時代のミランの選手たちもまた猛者揃いだったという他ない。
4)怪獣映画なら大ヒット必至!「イブラ対ルカク」
12年夏、イブラヒモビッチは資金難のミランからパリSGに放出された(そしてミランの低迷期は始まった)。花の都で4年過ごした後は、プレミアリーグに渡りマンチェスター・UでEL優勝。18年春には大西洋を越えて、MLSのLAギャラクシーに戦う場を求めた。
その間、再建に失敗し続けたミランが、最後の頼みの綱として20年の年明けに呼んだのが、38歳になっていたズラタンだった。
風貌こそすっかり仙人めいたが、その闘争心に衰えなし。今年1月26日、インテルとのコッパ・イタリア準々決勝で見せた、相手エースFWルカクとのド突き合いは大きな話題になった。
悪魔の形相のイブラが「小せえロバ野郎」と罵れば、悪鬼のようなルカクもイブラ夫婦を罵倒。睨み合う2人が互いに額をゴリ押しする一触即発の事態に陥り、周囲は試合どころではなくなった。ハリウッドのモンスター映画真っ青のド迫力だっただけに、コロナ禍による無観客試合だったのが本当に悔やまれる。