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風間フロンターレに憧れたからこそ… 小泉佳穂は「レッズを質の高いチームに」王者に“0-5の雪辱”を果たしてタイトルを
posted2021/08/31 17:00
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
J.LEAGUE
7月15日に行われたルヴァンカップ準々決勝の組み合わせ抽選会は、浦和レッズの小泉佳穂のために用意された舞台のようだった。
出場クラブを代表して抽選会に参加したのは、ゆかりのある選手ばかり。
セレッソ大阪の坂元達裕はFC東京U-15むさしの同期で、ともにユース昇格を逃して前橋育英高で切磋琢磨した間柄。
FC東京の渡辺剛も同い年で、彼はFC東京U-15深川から小泉と同じくユース昇格を逃して高体連、大学を経由してプロになった同志。
北海道コンサドーレ札幌の金子拓郎は前橋育英高時代のひとつ下の後輩である。
そして、引き当てた対戦相手は、因縁の川崎フロンターレ――。
「サポーターの方々の悲鳴が聞こえてきそうな気がして(苦笑)。だけど、自分は一番やりたいチームなので、すごくワクワクしていて、楽しい気持ちです」
「川崎と1分でも長くできたらすごく勉強になる」
オンラインで行われた抽選後にそう話した小泉は、さらに続けて意気込んだ。
「間違いなくここ数年、日本で一番強いチームだと思います。いずれはやると思うので、それが最初になっただけなので、頑張りたい」
いずれはやると思う、という言葉に、タイトルを見据えたプライドが覗く。
そのときの心境について、本音を聞くことができたのは、1週間後のことだった。
「実はどっちかと言うと、セレッソかFC東京を引きたかったんですけどね(笑)。でも、川崎と1分でも長くできたらすごく勉強になると思うから、楽しみなのは確かです」
J2のFC琉球から今季、浦和に加入した小泉は、リカルド・ロドリゲス監督のスタイルにすぐさまマッチし、チームに欠かせない存在となっている。
両足を同じレベルに扱えるこのプレーメーカーがいるといないとでは浦和のサッカーが変わる、とまで言われるほどだ。
なぜ、これほど早くチームにフィットできたのか。