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“純白のアイドル”ソダシがオークスからの3カ月で「大人」に…カギは精神面での成長と“52kg”《ハイレベルGII札幌記念》
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byPhotostud
posted2021/08/21 17:00
今年の桜花賞を見事制した白毛馬ソダシ。オークスでは8着に敗れたが、札幌記念で再び力を見せられるか?
肝心の吉田が距離への不安を口にしていることが気になるが、ひょっとしたら、他馬陣営を油断させるための「泣き」かもしれない。この馬の強さは彼が一番わかっているのだから、自信を持って乗ってほしい。
これだけ牝馬が強くなっている時代に、新馬、札幌2歳ステークス、アルテミスステークス、阪神ジュベナイルフィリーズ、桜花賞と5連勝した能力の高さは疑いようがない。
須貝調教師「52kgの軽い斤量は洋芝のほうが効く」と自信
あえて繰り返すが、オークスで負けたのは、スタミナがなかったからではなく、掛かって道中でエネルギーをロスしたからだ。そうして折り合いを欠くに至ったのは、精神的に成長し切れていなかったからでもある。馬にとって、特に若駒にとっての3カ月というのは非常に長い。オークスからの3カ月で大人になったソダシが、古馬の牡馬より5kgも軽い52kgで出られるのは大きな強みだ。「52kgの軽い斤量は(力のいる)洋芝のほうが効くんじゃないかと思っている」という須貝調教師の言葉も心強い。
札幌記念が芝2000mとなった1990年以降、3歳牝馬は、92年サンエイサンキュー、93年ハヤノキフジン、96年ノースサンデー、09年ブエナビスタ、12年ハナズゴール、14年ハープスターの6頭が出走しており、サンエイサンキューとハープスターが勝利をおさめている。阪神ジュベナイルフィリーズと牝馬二冠を制したブエナビスタが負けているのは嫌なデータだが、ブエナはソダシと対照的な追い込み脚質で、小回りの札幌に適性がなかったがために惜敗した。
ラヴズオンリーユーなど他の牝馬も強いけど…
好材料が揃い、「ソダシの、ソダシによる、ソダシのための札幌記念になる」と言いたいところだが、相手も強い。
ソダシをあっさり封じるとしたら、4月に香港のクイーンエリザベス2世カップでGI2勝目を挙げたラヴズオンリーユー(牝5歳、父ディープインパクト、栗東・矢作芳人厩舎)だろう。
前走の目黒記念を2馬身差で圧勝したウインキートス(牝4歳、父ゴールドシップ、美浦、宗像義忠厩舎)も強い。
「夏は牝馬」の格言どおり、各世代の強い牝馬による、華麗な戦いになりそうだ。
1番人気の支持を得るのはラヴズオンリーユーかもしれないが、個人的にはソダシの単勝を買って、「復権」の瞬間を見届けたいと思っている。