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“東京五輪に出られなかったキャプテン”篠山竜青33歳が味わった絶望と本音「チビはもっと頑張らないといけなかった」 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2021/08/20 17:01

“東京五輪に出られなかったキャプテン”篠山竜青33歳が味わった絶望と本音「チビはもっと頑張らないといけなかった」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

東京オリンピック直前で日本代表入りを逃した篠山竜青(川崎ブレイブサンダース所属)。五輪が終わった今、心境を明かした。

放心状態で“3日間の強制隔離”

 千葉県にある成田空港から専用のバスに乗せられて、都内にある3日間の強制隔離用のビジネスホテルへ。そこで缶詰になる。一般の人より大きい身体も考慮されることはない。

 たかが3日間、されど3日間。

「あれは結構……キツかった」

 今、振り返ってもそう感じる。

「メンバーから落ちて、凹んでいる状態で。電話などは出来ますけど、その想いを、顔を合わせて誰かに共有することはできない。食事も、決められた時間にドアノブにかけられる、ひとつの幕の内弁当だけ。そんな状況では部屋で身体を動かそうという気分にもならないし、そもそも、狭いから物理的にも無理なんですよ。1人で3日間隔離されるだけでもキツいじゃないですか? メンバーから落とされて帰ってきて、そのまま3日間の隔離。あの時間に何を考えたのか放心状態で覚えていないんですけど、そういう時間があったという事実だけはいつまでも記憶に残るというか……」

「チビはもっと頑張らないといけなかったんです」

 ただ、美談にするつもりもなければ、誰かの涙を誘いたいわけでもない。篠山はこう捉えている。

「どうして代表から外れたか。『身長』が理由だとラマスさんは語っていましたけど、それだけではないと思うんですよ。本職ではないのにオリンピックでPGを任された(192cmの田中)大貴はボールハンドラーになれて、ディフェンスもしっかりできるという総合ポイントでみんなよりも勝っていたから、先発で使われていたわけで。むしろ、本来のポジションではないところでやっていた大貴は大変だったと思うし、頑張っていました。富樫(勇樹、167cm)やベンドラメ(礼生、186cm)のほうがゲームを支配できると判断されたら、その選手がスタメンだっただろうし。それは(178cmの)僕にとっても同じことで。総合的な判断からああなった。

 ……やっぱり、チビはもっと頑張らないといけなかったと思うんです」

 だから、篠山は言い訳には逃げない。現実に向き合い、次の扉をノックしようとしている。

(【続きを読む】「もし自分がオリンピックに出られていたら…」篠山竜青が“代表落選”をポジティブに語る理由…中村憲剛の助言が支えに へ)

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